雇用保険法の特例措置について

令和2年5月27日に閣議決定された2020年度第2次補正予算案が第201回通常国会において可決成立(令和2年6月12日)となりましたので、下記事項が実施されることになりました。法律の名称は「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」です。

 

●新型コロナウィルス感染症に伴い、雇用保険の「失業等給付」の中の「求職者給付」のうち「基本手当」の特例で、新型コロナウィルス感染症の影響による自己都合での離職については、正当な理由のある自己都合離職として「給付制限*1」を課さない措置が講じられることになります。

*1 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇、又は正当な理由のない⾃⼰都合退職の場合には、待期期間(通算7日間)満了後1箇月以上3箇月以内(基本的には、3箇月以内)の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当が支給されなくなります。

令和2年2月25日以後に、下記の理由により離職した場合に、「特定理由離職者」(人事労務トピックス一覧表にある「雇用保険 特定受給資格者及び特定理由離職者に係る件について」においてご参照下さい)として扱われることで、「給付制限」が課されないというものです。

① 同居の家族が新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより看護または介護が必要となったことから自己都合離職した場合
② 本人の職場で感染者が発生したこと、又は本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有すること*2、妊娠中であること、もしくは高齢であることを理由に、感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合離職した場合
③ 新型コロナウイルス感染症の影響で子の養育が必要となったことから自己都合離職した場合

※ なお、この事項についてだけは、既に実施されている模様です。

 

●新型コロナウイルス感染症の感染予防を理由としてやむを得ず離職した者について、「特定受給資格者」(人事労務トピックス一覧表にある「雇用保険 特定受給資格者及び特定理由離職者に係る件について」においてご参照下さい)として規定されることになります。当該規定の適用対象は令和2年5月1日以後に離職した者とされています。

特定受給資格者の要件を定める雇用保険法第23条第2項第2号の「厚生労働省令(雇用保険法施行規則第36条)で定める理由」のひとつとして、本人又は同居の親族が新型コロナウイルス感染症に感染した場合に重症化するおそれのある疾患(基礎疾患)を有すること*2その他の職業安定局長が定める理由*3暫定措置として規定するというものです。

*2 いずれも同じ内容となっており、前者の位置付けが「特定理由離職者」であるのに対し、後者のそれが「特定受給資格者」であることから、整合性が取れないところですが、少なくとも、今般の暫定措置においては「特定受給資格者」として捉えることになるものと考えられます。

*3 その他の職業安定局長が定める理由の内容については、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」には詳細が記載されていませんが、上記②のうち*2を除き、①から③までの内容を意味するものと考えられます。

 

●新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により休業を強いられた労働者のうち、休業中に賃金を受けることができなかった者(つまり、事業主から休業手当が支給されなかった者)に対して、雇用保険法に基づく「雇用安定事業」として、当該労働者の失業の予防を図るための必要な事業(「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」を支給する事業)当該事業に準ずるものとして、雇用保険の被保険者でない者を対象に特別の給付金を支給することができる措置が講じられることになります。

・1月当り支給額➣休業前賃金額×80%

・月額上限➣330,000円(=15,000円*4×22) *4 雇用調整助成金の1人1日当たりの上限15,000円(従前までは8,330円)と同額になります。

 

新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響に対応するため、基本手当の所定給付日数を延長する雇用保険法の特例措置が講じられることになります。

雇用保険の受給資格者のうち、下記①から④までの受給資格に係る離職の日の区分に応じて定めている者については、公共職業安定所長が、その地域(*5 都道府県単位になるものと考えられます)における雇用機会の状況及び新型コロナウイルス感染症についての新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施の状況その他の事情を勘案し、雇用保険法第24条の2第1項に規定する指導基準に照らして再就職を促進するために必要な職業指導を行うことが適当であると認めた場合においては、失業していることについての認定を受けた日につき、所定給付日数を超えて基本手当を受給することができるようになります。

*5 緊急事態宣言が発せられた地域区分及びその日、緊急事態宣言の解除が発せられた地域区分及びその日

(緊急事態宣言が発せられた地域区分及びその日)

・東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県及び福岡県の7都府県➣令和2年4月7日

・残り40都道府県➣令和2年4月16日(なお、47都道府県のうち東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県、北海道、茨城県、石川県、愛知県、岐阜県及び京都府の13都道府県が「特定警戒都道府県」として指定されました)

(緊急事態宣言の解除が発せられた地域区分及びその日)

・下記の計8都道府県を除く39県➣令和2年5月14日

・京都府、大阪府及び兵庫県の3府県➣令和2年5月21日

・北海道、東京都、千葉県、神奈川県及び埼玉県の5道府県➣令和2年5月25日

 

① 新型コロナウイルス感染症について新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間が開始した日(令和2年4月7日or同年4月16日)以前の日

就職が困難な受給資格者(身体・知的・精神障害者など)以外の受給資格者

② 実施すべき期間中の日

就職が困難な受給資格者以外の受給資格者のうち、「特定理由離職者」又は「特定受給資格者」

③ 新型コロナウイルス感染症について新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言により実施期間が終了した日(令和2年5月14日or同年5月21日or同年5月25日)後の日

就職が困難な受給資格者以外の受給資格者のうち、「特定理由離職者(正当な理由のある自己都合離職者を除く)」又は「特定受給資格者であって、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により離職を余儀なくされた者」

 

※ 所定給付日数を超えて基本手当を支給する日数➣60日(35歳以上45歳未満の算定基礎期間が20年以上の「特定受給資格者(所定給付日数が270日の者)」又は45歳以上60歳未満の算定基礎期間が20年以上の「特定受給資格者(所定給付日数が330日の者)」は30日)*6が限度➣これを「特例延長給付」といい、「特例延長給付」を受給している受給資格者は「個別延長給付」(人事労務トピックス一覧表にある「雇用保険 特定受給資格者及び特定理由離職者に係る件について」においてご参照下さい)を受給している受給資格者とみなされます。なお、「特定受給資格者」に係る所定給付日数については、受給資格に係る離職の日が平成21年3月31日から令和4年3月31日までの間にある「特定理由離職者(正当な理由のある自己都合離職者は除きます)」については同じになります。

 

 「特例延長給付」を受給する受給資格者の受給期間(基本手当を受給できる期間のことで、原則として、離職の日の翌日から1年)は1年+60日(30日)となります。つまり、当該受給期間内の失業していることの認定を受けた日について、所定給付日数+60日(30日)を限度として受給できるわけです。

 

<新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案の概要>

 

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