VR認知症体験

兵庫県認知症対策室主催の研修を受講し、その中で、VR(virtual reality)認知症体験があった。これは、ある会社が提供する「VR認知症プロジェクト」という『VRの技術を活用し、認知症の中核症状を体験し、認知症を文字で学ぶのではなく、その症状を自分事として体験することを通じて社会に広まっている認知症に対する誤った理解や偏見を溶かしていくことを目的としたプロジェクト(同社HPより引用)』に基づく体験です。3部構成で、「私をどうするのですか?」「ここはどこですか?」「レビー小体病幻視編」をそれぞれ体験した。その中で、特に感銘を深くしたのが「ここはどこですか?」だった。認知症(とは限りませんが)の高齢女性が目的地を目指して電車に乗ったものの、途端に、どこ(どの路線)を走っているのかが分からなくなる、果たしてこの電車に乗って目的地まで辿り着けるのかが分からなくなるといった状態に陥ってしまったのである。同じ車両に乗り合わせた他の人達はいずれも無関心、スマホをいじっている人も多い。そのような中で益々不安な想いに駆られてしまうのです。漸く止まった駅で大勢の人が降りるのを見て、それに呼応するように、その人もつい降りてしまう。しかし、その駅がどこかも分からない。まごまごしているその時に、近くにいた駅員に「ここはどこですか?」と尋ねるものの、その駅員は「あっ、出口ならこのホームの先にありますよ」としか教えてくれない。すると、余計に不安になる有様。しかし、そんな時に、ふと現れた若い女性が声を掛けてくれた。「どうされましたか?何か困っていらっしゃることがあるのですか?」ととても優しい表情で・・・。その人が「横浜まで行きたいのですが、ここがどこの駅か分からなくなってしまって・・・」と答えると、その若い女性は笑顔で「私も横浜に行きますよ。この駅が乗り換え駅になりますから、一緒に行きましょうね」とその人を導いてくれたのである。そんなひとコマであった。

この程度のことなら、誰でもできそうな気かします。しかし、世間ではまだまだ、それがごく当り前になっていない気もします。何かに困っているような人がいれば、積極的に声を掛ける人がひとりでも多く存在する、そんな社会になってほしいと思う。

2019年9月27日 | カテゴリー : 心情 | 投稿者 : 石川 利人