健康保険制度(高額療養費制度等)・子育て支援制度Ⅱ


令和2年8月4日更新

【健康保険制度について】
同制度は、皆様にとって極めて身近な事柄を扱うものでもあります。ただ、複雑な部分もあり、また改正点もありますので、主要な点につき確認しておきたいと思います。

1. 療養の給付における一部負担金
・70歳未満の被保険者→かかった医療費の3割
・70歳以上の被保険者→原則、2割。現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上の人で、ただし、単身世帯で年収383万円未満、夫婦世帯で同520万円未満の場合は除きます)は3割。なお、70歳以上75歳未満の者で昭和14年4月2日以後昭和19年4月1日以前生まれの者(つまり、平成26年3月31日以前に70歳に達した者)は、従来からの軽減特例措置(9_21.pdf へのリンク)*が引き続き適用され、1割。

*これは、平成20年度から実施されているもので、本来の負担割合は2割のところを、臨時の特例措置として、70歳台前半の被保険者等(特例措置対象被保険者等)の負担割合を1割とし、国が一部負担金等の一部に相当する額(つまり、残りの1割)を特例措置対象被保険者等に代わって保険医療機関等に支払うことにより、その負担の軽減化を図ってきたものです。ただ、平成26年4月以後は、平成26年3月31日以前に70歳に達している者(つまり、昭和19年4月1日以前生まれの者)及び現役並み所得者を除き、本来の2割負担にしたというものです。なお、昭和14年4月2日以後昭和19年4月1日以前生まれの者は、平成31年3月31日までにはすべての者が75歳に達することになる(つまり、後期高齢者医療制度へ移行)わけであり、平成31年度以後は、特例措置対象被保険者等は存在しなくなります。

2. 入院時食事療養費
被保険者が傷病で医療機関に入院した場合、療養の給付とあわせて食事の給付を受けることができます。その際、被保険者が負担するのは「平均的な家計の食費と比較した標準負担額(食事療養標準負担額)」と言われるものです。
「食事療養標準負担額」については、平成30年4月から、所得区分のうち「一般の方」につき改定されています
「一般の方」→現行 1食につき360円(平成28年3月までは260円)(平成30年4月~同460円)
・「住民税非課税世帯の方(食事療養標準負担額の減額を受けなければ生活保護法の要保護者となる世帯を含む)、いわゆる低所得世帯」で過去1年間(減額申請を行った月以前の12ヶ月以内)の入院日数が90日以下場合→同210円
・「住民税非課税世帯の方」で過去1年間(減額申請を行った月以前の12ヶ月以内)の入院日数が90日を超えている場合→同160円
・「住民税非課税世帯の方」に属し、かつ所得が一定基準に満たない70歳以上の高齢受給者→同100円

なお、上記のように、食事療養標準負担額の減額措置を受ける場合は、 「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」※(9_1.pdf へのリンク) に被保険者証を添付して、全国健康保険協会各支部に提出し、「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受ければ、被保険者証と当該認定証を医療機関の窓口に提示することで、食事療養標準負担額の減額措置を受けることができます。

3. 入院時生活療養費
介護保険との均衡の観点から、特定長期入院被保険者(療養病床に入院する65歳以上の者)の生活療養(食事療養並びに温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養と言います)に要した費用について給付を受けることができます。その際、被保険者が負担するのは「平均的な家計の食費、居住費等と比較した標準負担額(生活療養標準負担額)」と言われるものです。これについては、詳細については言及しませんが、一点だけ、入院医療の必要性の高い者については、現行においては所得区分にかかわらず居住費の負担はなく、入院時食事療養費の「食事療養標準負担額」に相当する額のみの負担となっていますが、平成29年10月から段階的に、生活療養標準負担額についても下記の通り負担を求められることになります。
入院医療の必要性の高い者(指定難病者や老齢福祉年金受給者は除く)については、平成29年10月~平成30年3月まで→200円/日平成30年4月~→370円/日(指定難病者や老齢福祉年金受給者引き続き負担なし。ただし、これらの者の食事療養標準負担額は現行1食につき260円になっています)となっています。そして、食事療養標準負担額については、現行同460円になっています。
入院医療の必要性の高い者(指定難病者や老齢福祉年金受給者は除く)以外の者については、平成29年10月から、320円/日から370円/日へ変更されています。そして、食事療養標準負担額については、現行同原則460円になっています。
「住民税非課税世帯の方」についても、平成29年10月から、320円/日から370円/日へ変更されています。そして、食事療養標準負担額については、現行同210円になっています。

なお、食事療養標準負担額の減額措置と同様に、生活療養標準負担額の減額措置を受ける場合は、 「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」※(9_1.pdf へのリンク) に被保険者証を添付して、全国健康保険協会各支部に提出し、「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受ければ、被保険者証と当該認定証を医療機関の窓口に提示することで、生活療養標準負担額の減額措置を受けることができます。

※リーフレット「居住費(光熱水費)の負担の変更について(医療療養病床に入院している65歳以上の方)(平成29年10月~)」(9_2.pdf へのリンク)をご参照下さい。

4. 高額療養費
重い病気などで病院等に入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そこで、家計の負担を軽減できるよう、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される制度があります。
高額療養費の自己負担限度額に達しない場合でも、同一月に同一世帯で21,000円以上の自己負担額 (70歳未満の場合)が複数あるときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた額が支給されます。また、同一人が同一月に2つ以上の医療機関にかかって、それぞれの自己負担額が21,000円以上(同)ある場合も同様です。→これを「 世帯合算」と言います。
同一世帯で、療養のあった月以前の12ヶ月以内に既に高額療養費が支給されている月数が3回以上ある場合は、4回目からは自己負担限度額が変更されます。→これを「多数回該当」と言います。

【70歳未満の者の区分→平成27年1月から所得区分の細分化が図られました】
① 区分ア→標準報酬月額83万円以上(報酬月額81万円以上)の者
自己負担限度額 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 多数回該当 140,100円
② 区分イ→標準報酬月額53万円~79万円(報酬月額51.5万円以上~81万円未満)の者
自己負担限度額 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 多数回該当 93,000円
③ 区分ウ→標準報酬月額28万円~50万円(報酬月額27万円以上~51.5万円未満)の者
自己負担限度額 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 多数回該当 44,400円

④ 区分エ→標準報酬月額26万円以下(報酬月額27万円未満)の者
自己負担限度額 57,600円 多数回該当 44,400円
⑤ 区分オ→低所得者(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
自己負担限度額 35,400円 多数回該当 24,600円

※平成30年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(兵庫県の場合)
(9_25.pdf へのリンク)(なお、「子ども・子育て拠出金率」については、平成30年4月から0.29%にアップしていますので、当該保険料額表では読み替えて下さい)

【70歳以上75歳未満の者】→平成29年7月診療分まで (平成29年8月から見直し があります)(9_3.pdf へのリンク)
① 現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の者)
外来(個人ごと) 44,400円→平成29年8月診療分から57,600円
外来・入院(世帯ごと) 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 多数回該当 44,400円
② 一般所得者(①及び③以外の者)
外来(個人ごと) 12,000円→平成29年8月診療分から14,000円(年間上限設定144,000円)平成30年8月診療分から18,000円(年間上限額設定144,000円)
外来・入院(世帯ごと) 44,400円→平成29年8月診療分から57,600円   多数回該当44,400円
③ 低所得者
・低所得者Ⅱ(市区町村民税の非課税者等である場合)
外来(個人ごと) 8,000円
外来・入院(世帯ごと) 24,600円
・低所得者Ⅰ(年金収入80万円以下の者など)
外来(個人ごと) 8,000円
外来・入院(世帯ごと) 15,000円

さらに、平成30年8月からは、現役並み所得者につき、70歳未満の場合と同様に、所得区分の細分化(上記【70歳未満の者の区分である①区分ア・②区分イ・③区分ウ】と同じもの)が図られることになります。下方図表(出展:厚生労働省保険局)の通りとなります。なお、①区分ア→「現役並みⅢ」・②区分イ→「現役並みⅡ」・③区分ウ→「現役並みⅠ」と称せられます。



※ 高額療養費制度の見直しについて(9_4.pdf へのリンク)

5. 高額療養費の現物給付化(健康保険限度額適用認定証)
70歳未満の者(70歳以上75歳未満の者については申請不要(ただし、「市区町村民税非課税世帯等」は除く)で、「高齢受給者証」を被保険者証と併せて提示することで足ります)について、平成24年4月より、
従来の
・入院する者
・外来で在宅時医学総合管理料、特定施設入居時医学総合管理料及び在宅末期医療総合診療料が算定される者
さらに、
・外来で療養を受ける者

これらの高額療養費を現物給付化し、一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめることができるようになりました。この制度を利用するには、事前に全国健康保険協会各支部に 「健康保険限度額適用認定申請書」(9_5.pdf へのリンク) を提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受け、被保険者証と当該認定証を医療機関の窓口に提示することを要します。ただし、70歳未満の者のうち「区分オ」に該当する者70歳以上75歳未満の者のうち「低所得者」に該当する者は、「健康保険限度額適用認定申請書」ではなく、 「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」※で申請することになります。
なお、平成30年8月診療分から、70歳以上75歳未満の者のうち、所得区分が現役並みⅠ・現役並みⅡの者は健康保険証、高齢受給者証、限度額適用認定証の3点を医療機関の窓口に提示することで自己負担限度額までの支払いとなります。所得区分が一般・現役並みⅢの者は、健康保険証、高齢受給者証を医療機関の窓口に提示することで自己負担限度額までの支払いとなります(つまり、所得区分が一般・現役並みⅢの者は、限度額適用認定証は発行されません)。

【具体的な事例】
・被保険者本人(夫)45歳 所得区分ウ 入院(A病院) 総医療費30万円 自己負担額(3割)9万円
・被保険者の妻(被扶養者)43歳 所得区分ウ 外来(D病院) 総医療費5万円 自己負担額(3割)1.5万円
・被保険者の子(被扶養者)18歳 所得区分ウ 外来+調合(D病院+E薬局) 総医療費8万円 自己負担額(3割)2.4万円
・被保険者の父(被扶養者)73歳 所得区分一般 入院(B病院) 総医療費50万円 自己負担額(1割)5万円
・被保険者の母(被扶養者)72歳 所得区分一般 外来(C病院) 総医療費30万円 自己負担額(1割)3万円
上記のような場合は、先ず、70歳以上の者の、「外来」のみの計算を行います。
① 被保険者の母→自己負担額30,000円-自己負担限度額18,000円=12,000円(払戻額)
続いて、70歳以上の者の、「入院」も含めた世帯合算を行います。
② 被保険者の母の「外来」の 自己負担限度額18,000円+被保険者の父の「入院」の自己負担額50,000円=68,000円
70歳以上の者の世帯合算の負担額68,000円- 同世帯合算の自己負担限度額57,600円 =10,400円(払戻額)
さらに、70歳未満の者の自己負担額(ただし、21,000円以上の者に限る)も含めた 全世帯合算 を行います。
③ 被保険者本人の「入院」の自己負担額90,000円+被保険者の子の「外来」の自己負担額24,000円+ 被保険者の父母の世帯合算の自己負担限度額57,600円 =171,600円
なお、この中に、被保険者の妻が入っていないのは、 全世帯合算 においては、70歳未満の者の場合、自己負担額が21,000円以上なければ計算対象にならないからです。
さらに、全世帯合算における総医療費の算出を行います。
④ 被保険者本人の医療費300,000円+被保険者の子の医療費80,000円+被保険者の父の医療費500,000円+被保険者の母の医療費300,000円=総医療費1,180,000円
さらに、全世帯合算の自己負担限度額の算出を行います。→ 被保険者本人の所得区分であるウの自己負担限度額の算式より求められます 。
⑤ 80,100円+(総医療費1,180,000-267,000円)×1%=89,230円
最後に、全世帯合算の払戻額の算出を行います。
⑥ 全世帯合算の負担額合計171,600円-89,230円=82,370円(払戻額)
以上により、全世帯の払戻額→12,000円+10,400円+82,370円=104,770円となります。

「健康保険被保険者・被扶養者・世帯合算高額療養費支給申請書」※(9_6.pdf へのリンク)

6. 被扶養者に関する給付について
被扶養者の傷病に対しては、「家族療養費」が支給されます。被保険者に対する「療養の給付」と同様です。なお 、 未就学児である者(つまり、6歳に達する日以後の最初の3月31日以前である者)については、2割負担 となります 。
「家族療養費」には他に、被保険者における「入院時食事療養費」「入院時生活療養費」「保険外併用療養費」「療養費に相当する給付」が含まれています。これら以外に、「家族訪問看護療養費」「家族移送費」「高額療養費」「高額介護合算療養費」「家族埋葬費」「家族出産育児一時金」があります。

7.特記事項
①「健康保険(入院時食事療養費・入院時生活療養費に係る)限度額適用・標準負担額減額認定申請書」、②「健康保険被保険者・被扶養者・世帯合算高額療養費支給申請書」、その他にも③「高額介護合算療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」や④「基準収入額適用申請」といった申請書については、平成29年11月から、それらにマイナンバーを記⼊することで、他機関との税情報に関する情報連携により、(⾮)課税証明書等の添付書類の省略が可能となっていますが、さらに、平成30年10月9日からの本格運用(同7月からは試行運用)により⑤「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」も含めて、上記情報連携により、(⾮)課税証明書等の添付書類の省略が可能となっています。
ただし、平成29年11月~平成30年6月までは、①~③について、70歳以上の者が対象となる「低所得者Ⅰ(年金収入80万円以下の者など)」に係る申請は除外されていました。しかし、平成30年7月からは、同「低所得者Ⅰ(同)」に係る申請も含めて、当該省略が可能となりました。

<マイナンバーによる情報連携を行う場合(つまり、被保険者本人の住民税課税・非課税の確認を希望する場合)>
「本人確認書類貼付台紙 マイナンバーによる課税情報等の確認申出書」(9_29.pdf へのリンク)をもって番号確認書類と身元確認書類の添付を行って申出を行うことで、当該省略が可能となる形となります。
<マイナンバーによる情報連携を行わない場合>
この場合でも、上記申請書にマイナンバーを記入した場合は、「本人確認書類貼付台紙」(9_30.pdf へのリンク)をもって番号確認書類と身元確認書類の添付が必要となる上に、当該省略は不可となります。ただし、マイナンバーではなく保険証の記号番号を記入した場合は、マイナンバーの記入は不要で、従って、本人確認書類の添付も必要ありませんが、同じく、当該省略は不可となります。

【子育て支援制度Ⅱについて】
1.「出産育児一時金」に係る制度について
先ず、出産とは?妊娠85日(4箇月)以上の生産(早産)、死産(流産)、人口妊娠中絶を言います。なお、正常な出産、経済的な理由による人口妊娠中絶は「療養の給付」の対象にはなりませんが、「出産育児一時金」の対象にはなります。また、被保険者がその資格を喪失してから6ヶ月以内に出産した場合にも、被保険者期間が継続して1年以上ある場合に「出産育児一時金」が支給されます。支給額は基本的には、404,000円ですが、出産する医療機関が「産科医療補償制度」というものに加入している場合は、+16,000円されて、合計420,000円が支給されることになります。

※健康保険被保険者・家族出産育児一時金支給申請書(9_7.pdf へのリンク)

①「直接支払制度」→協会けんぽから支給される「出産育児一時金」を、協会けんぽから医療機関に対して直接支払う制度のことです。同制度を利用する場合には、当該医療機関へ被保険者証を提示して、当該医療機関を退院するまでの間に、「直接支払制度の利用に合意する文書」の内容に同意する必要があります。

なお、「直接支払制度」を利用した場合で、出産費用が出産育児一時金の額より少ない場合、その差額を被保険者に支給しますが、 差額の申請方法は 「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書」と「健康保険出産育児一時金差額申請書」 の2種類(9_8.pdf へのリンク)があります。

・直接支払制度を利用すると、協会けんぽから医療機関への支給が終了した旨の「支給決定通知書」が被保険者宛通知されます。
・そして、当該通知書が届く前に申請する場合が「内払金支払依頼書」、通知が届いた後に申請する場合が「差額申請書」となります。

②「受取代理制度」→本来、被保険者が受け取るべき「出産育児一時金」を医療機関が被保険者に代わって受け取る制度です。同制度を利用する場合は、 「出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)」(9_9.pdf へのリンク) に必要事項を記載の上、協会けんぽへ申請することになります。なお、同申請可能な者は、平成23年4月1日以後に出産される予定の被保険者又は被扶養者で、出産予定日まで2箇月以内の者に限られます。また、同制度は、事務的負担や資金繰りへの影響が大きいと考えられる施設(年間分娩件数が100件以下又は収入に占める正常分娩に係る収入の割合が50%以下で、厚労省へ届け出た診療所や助産所)が対象となるものです。
受取代理制度導入届提出施設一覧(令和1年6月1日現在)(9_27.pdf へのリンク)

2.「出産手当金」について
被保険者が出産のため、事業主から報酬が受けられないときは、「出産手当金」が支給されます。支給期間は下記の通りとなります。

※「健康保険 出産手当金支給申請書」(9_10.pdf へのリンク)➣PDF上での入力が改善されており、3枚目の事業主記入用上部にある「勤務状況」のところは特に使い勝手が良くなっています。ご活用下さい。

・出産の日(出産が出産予定日後であるときは出産予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内の休業期間について支給されます。出産が出産予定日後であるときは、出産予定日の翌日以後出産日までの日数分については、+αされるわけです。多胎妊娠ではない場合は、最大98日+αになります。
【「出産手当金」の額の算出方法について】
(原則)
1日当たりの金額→支給開始日の属する月以前の継続した12箇月間の各月標準報酬月額の平均額÷30日×2/3
 支給開始日の属する月以前12箇月間の保険者が同じで、かつ被保険者期間が継続していることを意味します。
(例外)
転職で支給開始日の属する月以前の被保険者期間が12箇月に満たない場合の算出方法として
①支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
②前年度の全被保険者の標準報酬月額の平均額(協会けんぽの場合は280,000円(なお、平成31(令和2)年度は300,000円))
①②のいずれか低い方となります。
ただし、転職前後で、被保険者期間に空白がなく、しかも保険者が同じ場合で、支給開始日の属する月以前の継続した被保険者期間が12箇月ある場合は、当該12箇月で算出することになります。しかし、転職前後で保険者が違う場合(健保組合と協会けんぽの場合)や、転職前後で保険者が同じであっても、その間に被保険者期間に空白がある場合には、現在の被保険者期間のみで算出することになります。それが12箇月に満たなければ、上記①②いずれかの方法になります。
なお、「傷病手当金」についても同じ算出方法となります。

※「健康保険 傷病手当金支給申請書」(9_11.pdf へのリンク)➣PDF上での入力が改善されており、3枚目の事業主記入用上部にある「勤務状況」のところは特に使い勝手が良くなっています。ご活用下さい。

※出産手当金等の計算方法の変更について(9_12.pdf へのリンク)

3.補足事項
「出産手当金」の支給対象期間は要するに、「産前産後休業期間」ということで、これは労働基準法第65条で認められた休業です。つまり、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性が 休業を請求した場合 には、その者を就業させてはならない旨定められています。また、原則として、産後8週間を経過しない女性は就業させてはならない旨も定められています。なお、具体的な産前産後期間がいつからいつまでかということがすぐ分かるように、協会けんぽより、その 「一覧表」(9_13.pdf へのリンク)が備えられていますので、ご参照下さい。

・先ずは、「産前産後休業期間」があって、その産後期間(出産日の翌日以後56日間)が終了すると、引き続き、「育児休業期間」となり、基本的には、育児休業開始日から子が1歳に達する日(つまり、誕生日の前日)までが当該期間となります。

(事例)
・当初の産前産後期間→平成26年12月30日から平成27年4月6日(出産予定日=平成27年2月9日)
・出産日が平成27年2月16日の場合の正規の産前産後期間→H26年12月30日から平成27年4月13日(105日間)
・育児休業期間→平成27年4月14日から平成28年2月15日までとなります。当該期間については、雇用保険法の「育児休業給付金」が支給されることになります。なお、 同法上の支給期間は育児休業開始日から子が1歳に達する日の前日(つまり、誕生日の前々日)まで* となっています。
・この事例に係る「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」への記載内容はこちら(9_31.pdf へのリンク)からどうぞ。この申出書により、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(産前産後休業終了日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)までの期間の保険料が免除されます。なお、この事例は出産予定日より後に出産した場合に当てはまり、出産年月日はもちろんのこと、産前産後休業終了予定年月日も変わってきますので、出産後に、「共通記載欄(取得申出)」➈から⑩及び「A.変更欄」に記載の上、提出する必要があります。
* 「育児休業給付金支給申請書(参考)」(9_14.pdf へのリンク)→当該申請書上の「出産年月日」が平成27年2月16日で、その場合の「支給終了年月日」は子が1歳に達する日の前日(つまり、誕生日の前々日)である平成28年2月14日となっています。

4.産前産後休業及び育児休業等時系列一覧表
産前産後休業及び育児休業等について、具体的な事例に即して時系列に一覧表(9_15.pdf へのリンク)にしてみましたので、参考にしていただければと思います。なお、その際に、年金事務所やハローワークに提出することになる申出書等を次にまとめてみました。確認して下さい。

※健康保険厚生年金保険産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届(9_16.pdf へのリンク)

なお、当該申出書をもって、産前産後休業期間中の保険料免除の申出を行うことになります。そして、出産前に当該申出を行った場合で、出産予定日と実際の出産日との間に違いがある場合には、「健康保険厚生年金保険産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」をもって、実際の産前産後休業期間を届出ることになります。
出産後に当該申出を行う場合には、「健康保険厚生年金保険産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」の提出は要しないこととなります。ただ、その場合には、出産までの数ヶ月の健康保険料・厚生年金保険料については、保険料免除の措置を受けていないことになりますので、実務的には、一旦、事業主側で、被保険者分を立て替えて、事業主負担分と合わせて納付することになるものと思われます。その後、実際の産前産後休業期間に基づく保険料免除措置が講じられ、一旦納付した保険料は調整されることになります。
さらに、保険料免除については、健康保険の「出産手当金」のような報酬との調整はなく、報酬の有無に関係なく、当該措置を受けることができます。
例えば、上記事例で言えば、仮に、平成26年12月30日と12月31を無給とせず、有給休暇扱いにしたとしても、保険料免除措置を受けることができます。従って、産前産後休業を開始した日(平成26年12月30日)の属する月、つまり、平成26年12月分から保険料免除となりますので、当該月に賞与の支給があったとすれば、その部分の健康保険料・厚生年金保険料についても免除を受けることができるわけです。逆に、無給とすれば、保険料免除とともに出産手当金の支給も受けることができることになります、ケースバイケースで、損得を計算して、対応を考えればいいと思います。

5.育児休業給付金の支給額について
上記事例に基づく、育児休業開始日(平成27年4月14日)から育児休業終了日(子が1歳に達する日=平成28年2月15日)の前日(平成28年2月14日)までの期間につき、「支給単位期間(休業した期間を、休業開始日から1ヶ月ごとに区分した期間のこと)」ごとに区切ると下記の通りとなります。
・平成27年4月14日から5月13日
・平成27年5月14日から6月13日
・平成27年6月14日から7月13日
・平成27年7月14日から8月13日
・平成27年8月14日から9月13日
・平成27年9月14日から10月13日➣この支給単位期間までが、支給率67%
・平成27年10月14日から11月13日➣この支給単位期間から、支給率50%
・平成27年11月14日から12月13日
・平成27年12月14日から平成28年1月13日
・平成28年1月14日から2月13日
・平成28年2月14日

  各支給単位期間ごとの支給額=休業開始時賃金日額*×支給日数(原則30日)×67(50)%
*原則として、育児休業開始前(ただし、産前産後休業を取得した被保険者が育児休業を取得した場合には、原則として、産前産後休業開始前)6箇月間の賃金を180で除した額のこと。なお、厚生労働省職業安定局雇用保険課作成の「業務取扱要領 雇用継続給付関係(育児休業給付)」によると、休業開始時点から遡って直近の完全賃金月6箇月間に支払われた賃金の総額を180で除して得た額とされています。
休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日)=賃金月額となりますが、当該額には上限額と下限額がいずれも設定されており、
上限額➣450,300(454,200)(456,300)円(改定額)(平成30年8月1日以後に適用される額で、毎月勤労統計調査における不適切な取扱いに伴う追加支給で、平成31年3月18日以後を支給単位期間の初日とする育児休業給付金付については、改定後の当該上限額が適用されます)なお、改定前は449,700円です。
下限額➣744,400(75,000)(77,220)

(青字)は令和1年8月1日(緑字)は令和2年8月1日からの変更額です

(具体的に支給された賃金(月末締め)額)
当該被保険者の場合は、産前産後期間である平成26年12月30日から平成27年4月13日(105
日間)のうち、平成26年12月30日から12月31日の2日間のみ有給休暇を取得した以外はすべて無給となった。従って、直近の完全賃金月6箇月間となると、下記の通りとなります。
①平成26年12月1日から31日 218,820円
②平成26年11月1日から30日 222,811円
③平成26年10月1日から31日 221,105円
④平成26年9月1日から30日 218,820円
⑤平成26年8月1日から31日 218,820円
⑥平成26年7月1日から31日 221,866円
⑦平成26年6月1日から30日 226,905円
なお、本来であれば、①~⑥までの総額(1,322,242円)となりますが、ハローワークの窓口担当によっては、②~⑦までの総額(1,330,327円)の方が大きいので、後者の方を採用してくれる場合もあろうかと思います。

●その場合の賃金日額は、1,330,327円/180≒7,390円となります。
●その場合の賃金月額は、7,390円×30=221,700円となります。

(支給単位期間ごとの具体的な支給額)
・平成27年4月14日から5月13日➣221,700円×67%=148,539円
・平成27年5月14日から6月13日➣221,700円×67%=148,539円
・平成27年6月14日から7月13日➣221,700円×67%=148,539円
・平成27年7月14日から8月13日➣221,700円×67%=148,539円
・平成27年8月14日から9月13日➣221,700円×67%=148,539円
・平成27年9月14日から10月13日➣221,700円×67%=148,539円
・平成27年10月14日から11月13日➣221,700円×50%=110,850円
・平成27年11月14日から12月13日➣221,700円×50%=110,850円
・平成27年12月14日から平成28年1月13日➣221,700円×50%=110,850円
・平成28年1月14日から2月13日➣221,700円×50%=110,850円
・平成28年2月14日➣7,390円

(支給単位期間中に賃金が支給された場合の育児休業給付金の額)
●支給された賃金(育児休業期間のみを対象とした賃金)の額=休業開始時賃金日額(7,390円)×支給日数(原則30日)×13(30)%を超えて80%未満の場合➣賃金日額×支給日数(原則30日)×80%相当額-賃金の額=育児休業給付金の額

・例えば、育児休業給付金の額148,539円(67%の場合)+賃金の額50,000円となった場合には、(賃金日額×支給日数(原則30日)×80%)-50,000円=127,360円➣これが、育児休業給付金の額になるというわけです。
・例えば、育児休業給付金の額110,850円(50%の場合)+賃金の額100,000円となった場合には、(賃金日額×支給日数(原則30日)×80%)-100,000円=77,360円➣これが、育児休業給付金の額になるというわけです。
●支給された賃金(育児休業期間のみを対象とした賃金)の額が、賃金日額×支給日数(原則30日)×80%以上の場合➣育児休業給付金そのものは支給されないということになります。
●支給された賃金(育児休業期間のみを対象とした賃金)の額が、賃金日額×支給日数(原則30日)×13(30)%以下の場合➣賃金日額×支給日数×67(50)%相当額=育児休業給付金の額
●つまり、賃金月額の80%以上の賃金が支払われていなければ、育児休業給付金は支給されるということになりますが、さらに、支給単位期間において、就業している日数が10日(10日を超える場合には、就業している時間が80時間)以下という支給要件も満たさなければなりません。育児休業開始当初より、当該期間中も就業(在宅勤務or短時間勤務)することを取り決めして、例えば、4時間/日で20日間勤務するという条件であれば、当該支給要件をクリアーできるのではないかと思われがちではあるが、このような場合は育児休業をしていることにはならないとされていますのでご留意下さい。また、例えば、副業している場合(この場合には、育児休業給付金支給申請書の中の5.就業日数欄と6.就業時間欄に記入する必要があります)では、上記就業日数や就業時間の算定に当たっては、仮に、副業している勤務先で雇用保険の被保険者となっていない場合(なお、この場合には、支払われた賃金の算定においては除外扱いになるとされています)であっても、そこでの就業日数や就業時間は含まれてしまい、最悪の場合は、当該支給単位期間については育児休業給付金の支給対象にならないおそれもありますのでやはりご留意下さい。

※健康保険厚生年金保険産前産後休業終了時報酬月額変更届/厚生年金保険70歳以上被用者産前産後休業終了時報酬月額相当額変更届(9_18.pdf へのリンク)
※健康保険厚生年金保険育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届(新規・延長)(9_19.pdf へのリンク)
※健康保険厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届/厚生年金保険70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相当額変更届(9_20.pdf へのリンク)
※雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書(9_22.pdf へのリンク)
※育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書(9_23.pdf へのリンク)
※子育て支援制度の各種手続き(概要)(9_24.pdf へのリンク)

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