介護保険法の改正案について


平成29(30)年8(10)月から、大きな改正があります。

【主な改正内容】
1. 40歳から64歳の現役世代が払う介護保険料の計算方法が「加入者割」から「総報酬割」へ変更になること(平成29年8月施行)。

2. 高額所得者が介護サービスを利用する際の自己負担額が「2割」から「3割」へ引き上げられること(平成30年8月施行)。利用者負担割合を判定する場合の基準は下記表をご参照下さい。
なお、「高齢者の医療の確保に関する法律」(後期高齢者医療制度)では既に「3割」が導入されています。

<利用者負担割合の判定表>
65歳以上の者(第1号被保険者)   「合 計 所 得 金 額」
 160万円未満  160万円以上
220万円未満
220万円以上 
「年金収入」+「その他の合計所得金額*」

*「合計所得金額」から公的年金等に係る雑所得を除いた額
・単身→
280万円未満
・2人以上→346万円未満 
1割 1割 1割
 ・単身→
280万円以上340万円未満
・2人以上→
346万円以上463万円未満 
2割 2割
 ・単身→
340万円以上
・2人以上→463万円以上 
3割

となります。特に、1.については、大幅な変更です。当該保険料は、「介護納付金」として医療保険者に賦課しており、各医療保険者が加入者である第2号被保険者の負担すべき費用を一括納付しています。各医療保険者は、介護納付金を、第2号被保険者である加入者数に応じて負担しているものを被用者保険間では報酬額に比例した形で負担することになるものです。後期高齢者医療制度では既に導入されているもの(段階的な導入で、平成29年度に「全面総報酬割」へ移行)で、それに倣って、激変緩和措置(平成30年度までは「1/2」、令和1年度「3/4」、令和2年度から「全面総報酬割」へ)により段階的な移行が予定されています。

※参考資料として、「社会保障審議会(介護保険部会)費用負担(総報酬割)」はこちら(参考資料))(10_1.pdf へのリンク)から

3.福祉用具貸与(レンタル)について、商品ごとの全国平均貸与(同)価格の公表や、貸与(同)価格の上限設定を行うこと(平成30年10月施行)。なお、上限を超えた場合には、その超過分は利用者負担になるとのことである。
(参考)
自身の事で恐縮ですが、我が母も福祉用具のレンタルを受けています。上記措置により、一部の福祉用具につき上限を超えることとなりましたが、超えない形での価格設定をしていただき、当該月分から若干貸与(同)価格が引き下げられることになりました。

※詳細は、厚生労働省ホームページ<福祉介護➣介護・高齢者福祉➣施策情報(福祉用具)>をご参照下さい。URLは下記の通りです。
URL➣ttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html


なお、従来からの「介護保険料率」の算定式が

A 介護保険料率=各年度における各医療保険者の納付ずへき介護納付金の額/当該年度における当該医療保険者が管掌する介護保険第2号被保険者の総報酬額の総額の見込額 
となっています。

各年度における各医療保険者の納付ずへき介護納付金の額
(介護給付等に要する費用×28%*)/全医療保険者における第2号被保険者の総数×各医保険者における第2号被保険者の総数
つまり、第2号被保険者一人当たりの保険料額を計算して、当該保険料額に各医療保険者における第2号被保険者の総数を乗じることで算出されてきたものです。他の医療保険者に比し第2号被保険者の数が多い「協会けんぽ」を例に取ると、介護納付金の額は当然、他の医療保険者に比し多くなるにもかかわらず、他方、総報酬額で見た場合、大企業の会社員などが加入する「健保組合」よりは所得水準が低くなっていることから、介護保険料率の算定をした場合、「協会けんぽ」のほうがその率が自ずと高くなってしまいます。つまり、各医療保険者によって、介護保険料率は異なっていたわけです。従って、同じ報酬を得ていても、加入する医療保険によって負担額に明らかな開きが生じるなど不公平感がありました。このような弊害を解消するために、今般、「総報酬割」という仕組みが導入されたわけです。

よって、「介護納付金」の新算定式は、

B 介護納付金=(介護給付等に要する費用×28%*)×各医療保険者の加入者である第2号被保険者の総報酬額の総額/全医療保険者の加入者である第2号被保険者の総報酬額の総額

になると考えます。

*介護給付等の費用の負担割合が、基本的には、介護サービスの利用者の自己負担額以外の部分を公費で50%(国・都道府県・市町村)、第1号被保険者の保険料で22%、第2号被保険者の保険料で28%となっていることからくるもの。

従って、上記二つの算式(AとB)から導き出される、今後適用されるであろう「介護保険料率」は要するに、

介護保険料率=(介護給付等に要する費用×28%*)/全医療保険の加入者である第2号被保険者の総報酬額の総額の見込額

になると考えます。

なお、平成30年度の「介護保険料率」は1.57%(協会けんぽ分)、令和1年度の「介護保険料率」は1.73%(同)、令和2年度の「介護保険料率」は1.79%(同)となりました。

結果的には、例えば、健保組合の場合は平均の介護保険料率(健康保険組合連合会発表分)(平成27年度1.411%、平成28年度1.42%、平成29年度1.465%)が上昇するものと思われ、協会けんぽの場合は介護保険料率(平成27年3月から平成29年2月分まで全国一律で1.58%、平成29年3月から平成30年2月分まで同1.65%)が前年度対比で大幅に下がることになりました。

※地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案のポイント(10_2.pdf へのリンク)

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