失業等給付の拡充について


令和2年8月4日更新

1.  失業等給付の拡充(暫定措置の見直し)について(平成29年4月から)(13_1.pdf へのリンク)

リーマンショック時に創設した失業等給付の暫定措置については、その期限が平成29年3月31日となっていたことから、下記のように必要な措置が行われた。

倒産・解雇等により離職した者(「特定受給資格者」という)等(「特定理由離職者」のうち雇止め等により離職した者を含む)については、次のいずれかに該当した場合には、通常通りの所定給付日数に加え、原則として60日間延長する措置が講じられてきました。これを「個別延長給付」と言います(なお、当該給付については、名称をそのままにして、その要件を厳しくした内容(暫定措置ではない)の「個別延長給付※」(13_7.pdf へのリンク)として生まれ変わっています)

① 45歳未満の求職者のうち、安定した就業の経験が少なく、離転職を繰り返している者
② 雇用情勢の悪い地域に居住する者( つまり、雇用機会が不足する地域 として指定された地域内に居住する者であって、かつ、職安の所長が指導基準に照らして再就職を促進するために必要な職業指導行うことが適当であると認めた者)
③ 職安の所長が、特に再就職のために個別支援を行う必要があると認めた者

上記のうち②についてだけ存続し、平成34(2022)年3月31日以前に離職した者についてその所定給付日数を原則として60間(所定給付日数が270日又は330日ある者については30日間)延長する暫定措置を実施することとしました。「地域延長給付※」(13_8.pdf へのリンク)と言います。
上記しました「個別延長給付※」と「地域延長給付※」については、人事労務トピックス「雇用保険の特定受給資格者及び特定理由離職者に係る件について」において説明箇所があります。ご参照下さい。

「特定理由離職者」のうち雇止め等により離職した者については、受給資格に係る離職日が平成21年3月31日から平成34(2022)年3月31日までの間にある場合に限り、「特定受給資格者」と同じ所定給付日数にすることとしました。

2.  失業等給付の拡充(基本手当の拡充①)(平成29年4月~)(13_2.pdf へのリンク)

倒産・解雇等により離職した者(「特定受給資格者」という)等(「特定理由離職者」のうち雇止め等により離職した者を含む)の所定給付日数については、一般の離職者よりも長い日数としている。ただ、それでも、その所定給付日数終了までに就職した割合が低い年齢層(30歳から45歳未満の者)について、特例的に、その所定給付日数を引き上げることとしました。ただし、「特定理由離職者」のうち雇止め等により離職した者については、上記しましたように、当該措置は、受給資格に係る離職日が平成21年3月31日から平成34(2022)年3月31日までの間にある場合に限ります。



※30歳以上35歳未満 被保険者期間1年以上5年未満につき、90日(※補足2➣受給資格に係る離職日が平成29年3月31日以前の場合)→120日
※35歳以上45歳未満 被保険者期間1年以上5年未満につき、90日(同上)→150日

3.  失業等給付の拡充(基本手当の拡充②)(平成29年8月から)(13_3.pdf へのリンク)

平成28年8月1日から改定された賃金日額(離職前6箇月間に支払われた賃金の総額÷180)の下限額である2,290円が平成28年の最低賃金の全国加重平均である823円(なお、平成30年のそれは874円、令和1年のそれは901円)(時間単位)で就労した場合の日額に換算した額である2,351円(≒823円×20/7)を下回る状況となったことから、その上限額と併せてその水準を見直すこととしたものです。ちなみに、兵庫県の「地域別最低賃金」は844円(平成29年10月1日から)(なお、平成30年10月1日からは871円、令和1年10月1日からは899円)です。なお、「産業別(特定)最低賃金」というものが別に規定されています。

平成29年8月1日から平成30年7月31日までの賃金日額の下限額2,470円→平成30年8月1日(令和1年8月1日)(令和2年8月1日)以後のそれを2,480(2,500)(2,574)(2,480(2,500)(2,574)円≧2,351(2,497≒874×20/7)(2,574≒901×20/7)円)

今後は最低賃金との逆転現象が生じないよう、
賃金日額の下限額<最低賃金(日額換算したもの)を基礎として算出された賃金日額→このような場合は、当該最低賃金日額を下限額とする改正がなされたということです。

(賃金日額の上・下限額等の引上げ)
賃金日額に応じて一定の率を乗じて得た額を基本手当日額と言いますが、雇用保険の一般被保険者が失業した場合に、その人が実際に雇用保険として受給できるのはこの基本手当日額になります。受給資格(離職の日以前2年間(これを「算定対象期間」と言います)に被保険者期間*が通算して12ヶ月以上であること)が当然必要となりますが、それをクリアーできれば、原則としてご本人が手続をすることで受給できることになります。そのほかいろいろと決まり事が多々ありますが、この場では割愛させていただきます。

*「被保険者期間」というもの以外に「被保険者であった期間」というものがありますが、厳密に言うと両者は違いますので、先ずはその点を説明します。

「被保険者であった期間」→ある会社に入社したその日から離(退)職したその日までの期間のことを言います。もちろん、皆様が入社した際に、その会社が所轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出し、皆様に対しては、「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書・雇用保険被保険者証」という細長い書類が交付されていることが前提にはなります。一度、会社からちゃんと交付されているか確認してみて下さい。

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「被保険者期間」→その「被保険者であった期間」を資格喪失日の前日つまり離(退)職日より遡って1箇月ごとに区切って、各期間のうち、賃金支払基礎日数*が11日以上であった期間を被保険者期間1箇月とカウントし、それが12箇月以上なければならないということです。
*賃金支払の根拠となった労働日数のことで、有休取得日などを含みますが、有休残がなく欠勤になってしまった日数は含まないので、それが多いと、最悪11日未満になってしまう場合もあります。

「雇用保険部会報告」(13_16.pdf へのリンク)から
『短時間労働者であっても、週の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みがあれば、雇用保険が適用され、その拡大化が図られてきたところであるが、雇用形態の多様化により、個別事例によっては雇用保険被保険者の資格を満たしながら失業等給付の受給のための被保険者期間に算入されない、つまり、賃金支払基礎日数が11日未満になってしまう場合もあります。そのような弊害を踏まえ、令和2年1月8日に開催された厚生労働省労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会によって公表された「雇用保険部会報告」によれば、日数 だけでなく労働時間(具体的には、日数では満たせなくても、月における労働時間が80時間以上であれば、当該月は被保険者期間1箇月とカウントする)による基準も補完的に設定するよう見直すこととする』旨の方針が示されています。施行は令和2年8月1日からです。


前置きが長くなりました。本題に戻ります。平成30年8月1日(令和1年8月1日)(令和2年8月1日)以後に適用される「賃金日額」と「基本手当日額」について、年齢分布ごとに示します。なお、( )内の%は基本手当日額を算出するために賃金日額に乗じられる一定の率のことです。また、(改定額〇〇〇)とした額は下記4.特記事項をご参照下さい。

30歳未満→賃金日額上限13,500(改定額13,510)(13,630)(13,700)円・同下限2,480(2,500)(2,574)円 基本手当日額上限6,750(改定額6,755)(6,815)(6,850)円(50%)・同下限1,984(2,000)(2,059)円(80%)
賃金日額2,480(2,500)(2,574)円以上4,970(5,010)(5,030)円未満➞基本手当日額(80%)
賃金日額4,970(5,010)(5,030)円以上12,210(改定額12,220)(12,330)(12,390)円以下➞基本手当日額(80%から50%の範囲)
賃金日額12,210(改定額12,220)(12,330)(12,390)円超13,500(改定額13,510)(13,630)(13,700)円以下➞基本手当日額(50%)
賃金日額13,500(改定額13,510)(13,630)(13,700)円(上限額)超➞基本手当日額6,750(改定額6,755)(6,815)(6,850)円(上限額)

30歳以上45歳未満賃金日額上限14,990(改定額15,010)(15,140)(15,210)・同下限2,480(2,500)(2,574)円 基本手当日額上限7,495(改定額7,505)(7,570)(7,605)円(50%)・同下限1,984(2,000)(2,059)円(80%)
賃金日額2,480(2,500)(2,574)円以上4,970(5,010)(5,030)円未満➞基本手当日額(80%)
賃金日額4,970(5,010)(5,030)円以上12,210(改定額12,220)(12,330)(12,390)円以下➞基本手当日額(80%から50%の範囲)
賃金日額12,210(改定額12,220)(12,330)(12,390)円超14,990(改定額15,010)(15,140)(15,210)円以下➞基本手当日額(50%)
賃金日額14,990(改定額15,010)(15,140)(15,210)円(上限額)超➞基本手当日額7,495(改定額7,505)(7,570)(7,605)円(上限額)

45歳以上60歳未満賃金日額上限16,500(改定額16,520➣再改定額16,510)(16,670➣改定額16,660円)(16,740)・同下限2,480(2,500)(2,574)円 基本手当日額上限8,250(改定額8,260➣再改定額8,255)(8,335➣改定額8,330)(8,370)(50%)・同下限1,984(2,000)(2,059)円(80%)
賃金日額2,480(2,500)(2,574)円以上4,970(5,010)(5,030)円未満➞基本手当日額(80%)
賃金日額4,970(5,010)(5,030)円以上12,210(改定額12,220)(12,330)(12,390)円以下➞基本手当日額(80%から50%の範囲)
賃金日額12,210(改定額12,220)(12,330)(12,390)円超16,500(改定額16,520➣再改定額16,510)(16,670➣改定額16,660)(16,740)円以下➞基本手当日額(50%)
賃金日額16,500(改定額16,520➣再改定額16,510)(16,670➣改定額16,660)(16,740)円(上限額)超➞基本手当日額8,250(改定額8,260➣再改定額8,255)(8,335➣改定額8,330)(8,370)円(上限額)

(注)(➣再改定額〇〇〇)(➣改定額〇〇〇)の意味するところは〜厚生労働省職業安定局雇用保険課より公表された「全国調査の結果により雇用保険で発生する賃金日額上限額等の変動と影響について」(13_17.pdf へのリンク)から
令和元年8月22日に、大阪府において「毎月勤労統計調査」を担当する2名の統計調査員が不適切な事務処理を行っていた旨の報告があり、集計結果の訂正を8月26日に公表するとともに、大阪府の事案を踏まえ、同日、大阪府を除く全ての都道府県に対して同様の事案がないか点検を依頼しました。その全国点検の結果、45都道府県からは適切に事務処理が行われているとの報告がありましたが、奈良県において1名の統計調査員が不適切な事務処理を行っていた旨の報告があり、それに伴う雇用保険の給付への影響について公表があったもので、追加給付に至らなかったものの、賃金日額の上限の一部について、下方修正が必要になったことを受けての修正です。告示日は令和2年1月上中旬で、適用は令和2年3月1日(13_18.pdf へのリンク)(13_19.pdf へのリンク)からになります。

60歳以上65歳未満→賃金日額上限15,740(改定額15,750)(15,890)(15,970)円・同下限2,480(2,500)(2,574)円 基本手当日額上限7,083(改定額7,087)(7,150)(7,186)円(45%)・同下限1,984(2,000)(2,059)円(80%)
賃金日額2,480(2,500)(2,574)円以上4,970(5,010)(5,030)円未満➞基本手当日額(80%)
賃金日額4,970(5,010)(5,030)円以上10,980(改定額10,990)(11,090)(11,140)円以下➞基本手当日額(80%から45%の範囲)
賃金日額10,980(改定額10,990)(11,090)(11,140)円超15,740(改定額15,750)(15,890)(15,970)円以下➞基本手当日額(45%)
賃金日額15,740(改定額15,750)(15,890)(15,970)円(上限額)超➞基本手当日額7,083(改定額7,087)(7,150)(7,186)円(上限額)

上記の年齢分布状況からすると、45歳以上60未満の者が一番高く、基本手当日額上限8,250(改定額8,260➣再改定額8,255)(8,335➣改定額8,330)(8,370)円です。ハローワークでは4週間に1回ある認定日に失業の認定を行い、基本的には28日分の「基本手当」を支給しますので、45歳以上60歳未満の者で上限に該当する者であれば28日分で231,000(改定額231,280➣再改定額231,140)(233,380➣改定額233,240)(234,360)円になります。

※「賃金日額等の改正前後の金額について」(平成30年7月17日付発表 厚生労働省ホームページより)(13_4.pdf へのリンク)

※「雇用保険の賃金日額・基本手当日額等の変更(平成30年8月1日から)について」はこちら(13_5.pdf へのリンク)から
※「雇用保険の賃金日額・基本手当日額等の変更(令和1年8月1日から)について」はこちら
(13_13.pdf へのリンク)
※「雇用保険の賃金日額・基本手当日額等の変更(令和2年8月1日から)について」はこちら(13_20.pdf へのリンク)から

※「雇用保険の雇用継続給付に係る支給限度額等の変更(平成30年8月1日から)について」はこちら(13_6.pdf へのリンク)から(支給限度額等の算出根拠についてはこちら(13_15.pdf へのリンク)から)
※「雇用保険の雇用継続給付に係る支給限度額等の変更(令和1年8月1日から)について」はこちら(13_14.pdf へのリンク)(支給限度額等の算出根拠についてはこちら(13_15.pdf へのリンク)から)
※「雇用保険の雇用継続給付に係る支給限度額等の変更(令和2年8月1日から)について」はこちら(13_21.pdf へのリンク)から(支給限度額等の算出根拠についてはこちら(13_15.pdf へのリンク)から)

4.特記事項

( 今般の「毎月勤労統計調査」に係る再集計値等に基づく雇用保険の追加給付に関連して)
平成16年8月からの各年の雇用保険の賃金日額の上限額等については、毎年8月、「毎月勤労統計調査」の労働者1人当たりの毎月決まって支給する給与の額である「平均定期給与額」の変化率を基に、具体的なスライド後の額(自動変更対象額)を厚生労働大臣が告示してきたものであるが、その「平均定期給与額」が「毎月勤労統計調査」の不適切な取扱いにより算出され公表されてきた経緯を受け、その上限額等が「再集計値」及び「給付のための推計値」に基づき算出され、改めて適用されるようになりました。その具体的な額は上記3.失業等給付の拡充(基本手当の拡充②)(平成29年8月から)にある(賃金日額の上・下限額等の引上げ)において、(赤字)強調していますので、ご確認いただきますようお願い申し上げます。
なお、これは、平成31年3月13日に開催されました第138回労働政策審議会職業安定分科会において提示された資料(厚生労働省ホームページより)から判明した内容です。
(適用日)
平成31年3月18日

※雇用保険の賃金日額の上限額等については、最終的には、「毎月勤労統計調査」の労働者の「平均定期給与額」の変化率を用いてスライドさせた上で決定されるべきものですが、その算定基礎とする「平均定期給与額」が不適切な取扱いにより算出されていたことから、今般、変更されたものです。

※雇用保険の高年齢雇用継続給付の算定に係る「支給限度額」についても、やはり、改めて適用されています。
平成30年8月1日(令和1年8月1日)(令和2年8月1日)から適用されている「支給限度額」359,899円(改定額360,169円➣再改定額360,163円)(363,359円➣改定額363,344円)(365,114円)

なお、「支給限度額」については、人事労務トピックスにある「高年齢雇用継続給付について」の【支給額】③支給限度額以上の場合をご参照下さい。

※雇用保険の育児休業給付の算定に係る「支給限度額」についても、やはり、改めて適用されています。
平成30年8月1日(令和1年8月1日)(令和2年8月1日)から適用されている「支給限度額(支給率67%の場合)」301,299円(449,700円*1×67%)(改定額301,701円(450,300円*1×67%))(304,314円(454,200円*1×67%))(305,721円(456,300円*1×67%))
*1 基本手当に係る離職時の年齢層が 30歳から45歳未満である場合の賃金日額の上限額14,990(改定額15,010)(15,140)(15,210)円×30 日 がベースになっています。
平成30年8月1日から適用されている「支給限度額(支給率50%の場合)」224,850円(449,700円*2×50%)(改定額225,150円(450,300円*2×50%))(227,100円(454,200円*2×50%))(228,150円(456,300円*2×50%))
*2 *1に同じ。

※雇用保険の介護休業給付の算定に係る「支給限度額」についても、やはり、改めて適用されています。
平成30年8月1日(令和1年8月1日)(令和2年8月1日)から適用されている「支給限度額(支給率67%の場合)」331,650円(495,000円*3×67%)(改定額332,052円(495,600円*3×67%)➣再改定額331,851(495,300円*3×67%))(335,067円(500,100円*3×67%)➣改定額334,866円(499,800円*3×67%))(336,474円(502,200円*1×67%))
*3 基本手当に係る離職時の年齢層が 45歳から60 歳未満である場合の賃金日額の上限額16,500(改定額16,520➣再改定額16,510)(16,670➣改定額16,660)(16,740)円×30 日 がベースになっています。

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