雇用保険の適用拡大について


令和2年1月8日更新

平成29年1月1日以後、65歳以上の労働者については、「高年齢被保険者」として雇用保険の対象になるというものです。従来までは、「高年齢継続被保険者(65歳に達した日の前日(つまり、誕生日の前々日)から引き続いて65歳に達した日以後の日(つまり、誕生日の前日)において雇用されている被保険者)➣つまり、この被保険者が失業した場合は、「高年齢求職者給付金という一時金が支給されるもの」となっている場合を除き適用除外であった。

 平成29年1月1日以後、65歳以上の労働者は「高年齢被保険者」として雇用保険の対象となり、その者が離職した場合には、受給要件(①離職していること②就職する意思と能力を有するものの仕事が見つからないこと③離職前1年間(原則)(算定対象期間)に雇用保険の被保険者期間が通算して6箇月以上(賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1箇月とカウントします)あること)を満たせば、「高年齢求職者給付金」が支給されることになります。
「高年齢求職者給付金」➣
被保険者であった期間が1年以上の場合➣基本手当日額(上限額6,815円)×50日分
被保険者であった期間が1年未満の場合➣基本手当日額(同)×30日分
(青字)は令和1年8月1日からの変更額です。

「高年齢被保険者」については、3つのパターンが考えられますので、以下確認したいと思います。
1. 平成29年1月1日以後に新たに65歳以上の労働者を雇用した場合
雇用保険の適用要件(つまり、1週間の所定労働時間20時間以上、かつ、31日以上雇用の見込があること)に該当する場合➣雇用した日の属する月の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」の提出

2. 平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し、平成29年1月1日以後も継続して雇用している場合➣つまり、平成28年12月末までは、そもそも雇用保険の対象ではなかったということ。
平成29年1月1日より「高年齢被保険者」になり、同年3月31日までに「雇用保険被保険者資格取得届」の提出

3. 平成28年12月末時点で「高年齢継続被保険者」である労働者を平成29年1月1日以後も継続して雇用している場合➣つまり、平成28年12月末までは、「高年齢継続被保険者」として雇用保険の対象であったということ。
自動的に「高年齢被保険者」になり、届出は不要です。

「マルチジョブホルダーとしての働き方を選択している65 歳以上の労働者の扱いについて」
令和2年1月8日に開催された厚生労働省労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会によって公表された「雇用保険部会報告」において、『定年及び継続雇用制度の期間を過ぎて就労が多様化する65 歳以上の労働者については、近年、マルチジョブホルダー(複数の事業所で雇用される者)としての働き方が相対的に高い割合で増加している一方で、新規求職者数の伸びに比して求職者訓練及び公共職業訓練の受講割合はむしろ65 歳未満の年齢層よりも低下しているなど、これまでの職業人生で得られたスキルを生かして多様な就労を目指している層と考えられる。そのため、まずは、65 歳以上の労働者を対象に、本人の申出を起点に2つの事業所の労働時間を合算して「週の所定労働時間が20 時間以上である」ことを基準として適用する制度を試行することとし、その効果等を施行後5年を目途として検証するべきである』との記述がある。その提言を踏まえ、令和2年1月8日に開催された第144回労働政策審議会職業安定分科会において厚生労働省より提示された資料「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」の中で、下記のような内容で高年齢被保険者の特例として雇用保険の適用の対象とする旨の法改正(施行予定は令和4年1月とされています)が予定されています。
<高年齢被保険者の特例>
次に掲げる要件のいずれにも該当する者が、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出た場合には、高年齢被保険者となることができるものとすること。
(1)一の事業主における1週間の所定労働時間が20時間未満であること
(2)二以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者であること
(3)二の事業主の適用事業(申出を行う労働者の1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間数(5時間とされる予定)以上であるものに限る)における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること➣つまり、週の所定労働時間が5時間以上である雇用が行われている
事業所を合算の対象とし、仮に三以上の事業主の適用事業に雇用されていても、合算するのは二つの事業所に限定し、合算した結果、1週間の所定労働時間が20時間以上あれば、雇用保険の適用の対象になるものと思われます。

「免除対象高年齢労働者」の扱いについて
これは、保険年度の初日=4月1日において、64歳以上の労働者で「短期雇用特例被保険者」や「日雇労働被保険者」以外の者を雇用している場合は、雇用保険に係る保険料が免除(事業主、被保険者とも)されているものです。
この免除措置については、令和2年3月31日までは引き続き緩和適用されますが、令和2年度(令和2年4月1日)からはこの免除措置は廃止(14_2.pdf へのリンク)になり、その初日=4月1日において64歳以上(つまり、令和2年度中(令和3年3月31日まで)に65歳になるということ。昭和31年4月1日以前生まれの者が対象)の労働者についても、雇用保険料が徴収されることになります。ご留意下さい。

※雇用保険の適用拡大について(14_1.pdf へのリンク)

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