労働契約法の改正について


労働契約法は平成20年3月から施行され、その認知度も高まっているものと思われます。この法律は労働契約に関する民事的なルールを定めたもので、民法の特別法と位置付けられ、その規定の多くは重要な判例法理を立法化されたものとなっています。なお、その後、平成24年の法改正により、有期労働契約に関する新ルールが設けられ、平成25年4月1日から全面施行されています。そこで、ここでは、当該新ルール(3つあります)のうち、特に「無期転換ルール」について改めて確認しておきたいと思います。

※労働契約法改正のあらまし(16_1.pdf へのリンク)

※有期契約労働者の無期転換ポータルサイト


※無期労働契約転換申込書・受理通知書(様式例)(16_1_18_19.pdf へのリンク)

労働者からの「無期転換申込権」の行使により、使用者が申込みを承諾したものとみなされる場合には、無期労働契約の成立となり、その結果、使用者は改めて労働条件の明示が必要となります。

※「労働条件通知書(一般労働者用)(参考様式)」(16_1_20_21.pdf へのリンク)

1.有期労働契約から無期労働契約への転換(無期転換ルール)(16_2.pdf へのリンク)
有期労働契約が繰り返し更新され、通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。
<無期転換の要件と効果>
①同一(事業場単位ではなく、法人なら法人単位、個人事業主なら当該個人事業主単位となります)の使用者との間で締結されていること。
②2以上の有期労働契約があること、つまり有期労働契約が1回以上更新されていること。
③通算契約期間が5年を超えていること。なお、通算契約期間のカウントは平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約が対象となります。
①~③の要件に当てはまれば、「無期転換申込権」が発生し、5年を超えた現有期労働契約期間の初日から満了日までに、当該労働者が申込権を行使すれば、使用者の意思にかかわらず無期転換できます。例えば、

(例)1年更新の場合
H25.4.1~H26.3.31→更新1→H26.4.1~H27.3.31→更新2→H27.4.1~H28.3.31→更新3→H28.4.1~H29.3.31→更新4→H29.4.1~H30.3.31→更新5となった場合には、H30.4.1~H31.3.31までの間に申込権が行使でき、H31.4.1~「無期労働契約」になります。
このような1年更新のケースが多いと考えられ、早ければH30.4.1以降に申込権が行使される事例の発生が予想され、転換後の処遇を考える必要があります。①雇用期間の変更のみの場合②いわゆる「正社員」とは違う形である「時間限定」「勤務地限定」「職務限定」等勤務形態の「多様な正社員」である場合③いわゆる「正社員」である場合といった社員区分ごとの検討を踏まえて、それぞれに適用される労働条件等について就業規則を整備することも必要になってきます。

(例)3年更新の場合
H25.4.1~H28.3.31→更新1となった場合には、H28.4.1~H31.3.31までの間に申込権が行使でき、H31.4.1~「無期労働契約」になります。

(例)5年更新の場合
H25.4.1~H30.3.31→更新1となった場合には、H30.4.1~H35.3.31までの間に申込権が行使でき、H35.4.1~「無期労働契約」になります。
なお、無期転換後の労働条件は、別段の定め(就業規則や個々の労働契約など)がない限り、直前の有期労働契約と同一となります。

なお、育児休業などで勤務しなかった期間があっても、労働契約が継続している限り、当該期間も通算契約期間にカウントされます。

<クーリング>
・同一の使用者との有期労働契約に原則として6ヶ月以上の空白期間(つまり、「無契約期間」)がある場合は、その「無契約期間」前の有期労働契約の契約期間(2つ以上の有期労働契約があるときは通算した期間)はリセットされてしまいますので、通算契約期間としてはカウントされません。この場合は、カウントの対象となる契約期間(2つ以上の有期労働契約があるときは通算した期間)が1年以上の場合です。
このことを「クーリング」と言います。

カウントの対象となる契約期間(2つ以上の有期労働契約があるときは通算した期間)が1年未満の場合、例えば、①2ヶ月以下の場合②2ヶ月超4ヶ月以下の場合③4ヶ月超6ヶ月以下の場合④6ヶ月超8ヶ月以下の場合⑤8ヶ月超10ヶ月以下の場合、それぞれについて、その前に、①1ヶ月以上②2ヶ月以上③3ヶ月以上④4ヶ月以上⑤5ヶ月以上の「無契約期間」があれば、その「無契約期間」前の有期労働契約は通算されません。

<特記事項>
厚生労働省が公表した大手自動車メーカー10社に対する「いわゆる期間従業員の無期転換に関する調査」によれば、期間従業員の有期労働契約について更新上限を設けているのは10社中10社と例外はなく、中には、「4年11ヵ月」としている企業が1社あり、また、再雇用に関しても、従前の有期労働契約終了から「6ヵ月未満」の場合には再雇用しないとする企業が7社あったとのことで、「更新は5年未満を上限」「クーリングの適用が目的」と見られても仕方がないような無期転換ルールの意図的な回避を目指したと疑われる事例もあったとのことである。

なお、参考までに、有期労働契約の1回の契約期間については、上限が定められており原則3年です。ただし、高度の専門的知識等を有する労働者や満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約のそれは5年です。また、一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約のそれは当該期間となります。

「無期転換ルール取組促進キャンペーンについて」

2.雇止めのルール
これは最高裁の判例で確立した「雇止め法理」がそのまま法律に規定されたものです。一定の場合には、使用者による雇止めが認められないということです。
①有期労働契約が反復更新され、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められる場合
②労働者が有期労働契約の契約満了時に、契約が更新されると期待することに合理的な理由が認められる場合

3.不合理な労働条件の禁止(均衡待遇)
これは、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールです。

4.無期転換ルールの特例について
①有期労働契約を締結している大学等・研究開発法人の研究者、教員等については、労働者の無期転換申込権が発生するまでの期間は10年になります。

※大学等及び研究開発法人の研究者、教員等に対する労働契約法の特例について(16_3.pdf へのリンク)

②一定の専門的知識等を有する有期雇用の労働者→5年を超える一定期間内( プロジェクト期間(5年超10年(上限)以下の認定に係る期間 )に完了することが予定されている業務に就く高度の専門的知識等を有する有期雇用労働者→当該期間が超えた時点で無期転換申込権が発生します。
上記②の場合には、労働者が自らの能力の維持向上を図る機会の付与等について、適切な雇用管理を実施する旨の計画を策定し、都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。
※「第一種計画認定・変更申請書」(16_4.pdf へのリンク)

③定年後に有期契約で継続雇用されている高年齢者→この場合は、何年継続雇用しても無期転換申込権は発生しません。
上記③の場合には、労働者に対する配置、職務及び職場環境に関する配慮等について、適切な雇用管理を実施する旨の計画を策定し、都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。
※「第二種計画認定・変更申請書」(16_5.pdf へのリンク)

※高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について(16_6.pdf へのリンク)

5.補足事項
①有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合の助成金等があります。参考にして下さい。

※キャリアアップ助成金 8コース(16_7.pdf へのリンク)
②非正規雇用労働者の処遇改善等を図りたいと考えていらっしゃる事業主のために、相談に乗っていただける組織として、「兵庫非正規雇用労働者待遇改善支援センター」(16_8.pdf へのリンク)が開設されました。厚生労働省兵庫労働局委託事業として、「一般社団法人兵庫労働基準連合会」内に設置されています。ご案内致します。

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