短時間労働者の扱いについて


令和2年1月4日更新

厚生年金保険の適用対象としては、1週間の所定労働時間及び1箇月間の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者のそれらの3/4以上である70歳未満*1の者は被保険者として取り扱うこととされている。→「4分の3基準」と言います。従って、当該「4分の3基準」に該当しない70歳未満の者は原則として、被保険者として取り扱わないものとされています。

*1 参考までに、厚生年金保険では、適用事業所に使用される70歳未満の者が被保険者とされています。70歳以上の者については、70歳以上の使用される者(被用者)という表現で被保険者とは区別されています。ただ、70歳以上であっても、老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有しない者には、当該受給権を取得するまでの間、厚生年金保険の被保険者になる方法があります。これを「高齢任意加入被保険者」と言います。

しかし、平成28年10月から 、健康保険・厚生年金保険の適用対象の拡大化(18_1.pdf へのリンク)が図られ
①週の所定労働時間が20時間以上であること
②月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)であること
③勤務期間が1年以上見込まれること➣
「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(18_12.pdf へのリンク)から
この「勤務期間要件」については、厚生労働省社会保障審議会年金部会において議論され、令和1年12月25日に開催された同部会によって公表された「社会保障審議会年金部会における議論の整理」においては、2箇月超(健康保険法・厚生年金保険法においては、被保険者になることができない場合として、臨時に使用される者(日々雇い入れられる者と2箇月以内の期間を定めて使用される者)については、その適用が除外されています。ただし、前者の場合では1箇月を超えて、後者の場合では所定の期間(例えば、2箇月)を超えて、引き続き使用されるに至った場合には、その時から被保険者になるとされています)の要件とすべきとの方向性が示されています。なお、当該1年以上の勤務期間要件については撤廃され、令和4年10月からフルタイムの被保険者と同様に2箇月超の勤務期間要件が適用されることになっています。
④学生でないこと
⑤下記の「特定適用事業所」に使用されていること
上記①~④の要件すべてを満たし、上記「4分の3基準」に該当しない短時間労働者であって、適用除外(臨時に使用される者等のこと)に該当しない者のことを「特定4分の3基準未満短時間労働者」と言います。 そして、70歳未満の者のうち、適用除外に該当しない者であって、「特定4分の3基準未満短時間労働者」以外の者のことを「特定労働者」と言います。さらに、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される「特定労働者」の総数が常時501人以上(500人超)*2である各適用事業所のことを「特定適用事業所」と言います。

*2 「社会保障審議会年金部会における議論の整理」から
この「企業規模要件」については、厚生労働省社会保障審議会年金部会において議論され、令和1年12月25日に開催された同部会によって公表された「社会保障審議会年金部会における議論の整理」において、それを段階的に縮小していくべきとの方向性が示され、具体的には、令和4年10月101人以上(100人超)、さらに、令和6年10月には51人以上(50人超)規模の企業にまでその拡大化が図られることになるようです。

*届出→初めて「特定適用事業所」となった事業主は、当該事実があった日から5日以内に「 健康保険・厚生年金保険特定適用事業所該当・不該当届」(18_2.pdf へのリンク)を提出しなければなりません。

①~⑤の要件すべてを満たす、70歳未満の者は被保険者として取り扱うことになりました。

人事労務トピックス「103万円の壁から150万円の壁へ」について

*届出→既該当の「特定適用事業所」の被保険者(「特定4分の3基準未満短時間労働者」を除く)の総数が常時500人以下となったとしても、引き続き「特定適用事業所」としてみなす措置が講じられますが、ただし、下記の同意を得て、「健康保険・厚生年金保険特定適用事業所該当・不該当届」(18_2.pdf へのリンク)を提出することにより、特定適用事業所に該当しなくなったものとして取り扱われます。この場合には、当該「特定4分の3基準未満短時間労働者」は当該届出が受理された日の翌日に被保険者としての資格を喪失することになります。

①同意対象者*の3/4以上で組織する労働組合の同意
(①に該当する労働組合がないときは②③のいずれかの同意)
②同意対象者の3/4以上を代表する者の同意
③同意対象者の3/4以上の同意

①又は②の同意には、「同意書(労働組合・労働者代表者用)」(18_3.pdf へのリンク) を添付します。さらに、当該「同意書」に併せて、 上記①の要件を満たした労働組合である旨又は上記②の要件を満たした同意対象者の代表者である旨を 証明した書面(18_4.pdf へのリンク)も提出しなければなりません。
③の同意には、「同意書(単票用)」(18_5.pdf へのリンク)「同意書(連名)」(18_6.pdf へのリンク) を添付します。

*同意対象者→事業主が同一である1又は2以上の適用事業所に使用される被保険者(「特定4分の3基準未満短時間労働者」を含む)及び70歳以上被用者のことを言います。 さらに、平成29年4月からは、さらなる拡大化(18_1.pdf へのリンク)が図られ、

「特定適用事業所」以外の適用事業所*の事業主は、下記の同意を得て、当該事業主の1又は2以上の適用事業所に使用される「特定4分の3基準未満短時間労働者」について、被保険者とする旨の申出をすることができます。

「特定適用事業所」以外の適用事業所→事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される「特定労働者(つまり、被保険者であるもの)」の総数が常時500人以下である各適用事業所のことを言います。当該申出をすることで、当該事業所は「任意特定適用事業所」と呼ばれることになります。その対象となる事業所は①労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所②地方公共団体に属する事業所となります。

*届出→「任意特定適用事業所」となるには、下記の同意を得て、「健康保険・厚生年金保険任意特定適用事業所申出書・取消申出書」(18_7.pdf へのリンク) を提出しなければなりません。

①同意対象者*の過半数で組織する労働組合の同意
(①に該当する労働組合がないときは②③のいずれかの同意)
②同意対象者の過半数を代表する者の同意
③同意対象者の1/2以上の同意

①又は②の同意には、「同意書(労働組合・労働者代表者用)」(18_3.pdf へのリンク) を添付します。さらに、当該「同意書」に併せて、 上記①の要件を満たした労働組合である旨又は上記②の要件を満たした同意対象者の代表者である旨を証明した書面(18_4.pdf へのリンク)も提出しなければなりません。
③の同意には、 「同意書(単票用)」(18_5.pdf へのリンク)「同意書(連名)」(18_6.pdf へのリンク)を添付します。

*同意対象者→事業主が同一である1又は2以上の適用事業所に使用される被保険者(「特定4分の3基準未満短時間労働者」を含む)及び70歳以上被用者のことを言います。

*届出→「任意特定適用事業所」の申出をした事業主は、下記の同意を得て、「健康保険・厚生年金保険任意特定適用事業所申出書・取消申出書」(18_7.pdf へのリンク)を提出することにより、当該1又は2以上の適用事業所に使用される「特定4分の3基準未満短時間労働者」について被保険者としない旨の申出をすることができます。この場合には、当該「特定4分の3基準未満短時間労働者」は当該申出が受理された日の翌日に被保険者としての資格を喪失することになります。

①同意対象者*の3/4以上で組織する労働組合の同意
(①に該当する労働組合がないときは②③のいずれかの同意)
②同意対象者の3/4以上を代表する者の同意
③同意対象者の3/4以上の同意

①又は②の同意には、「同意書(労働組合・労働者代表者用)」(18_3.pdf へのリンク) を添付します。さらに、当該「同意書」に併せて、 上記①の要件を満たした労働組合である旨又は上記②の要件を満たした同意対象者の代表者である旨を証明した書面(18_4.pdf へのリンク)も提出しなければなりません。
③の同意には、 「同意書(単票用)」(18_5.pdf へのリンク)「同意書(連名)」(18_6.pdf へのリンク)を添付します。

*同意対象者→事業主が同一である1又は2以上の適用事業所に使用される被保険者(「特定4分の3基準未満短時間労働者」を含む)及び70歳以上被用者のことを言います。 なお、事業主は、被保険者が「特定4分の3基準未満短時間労働者」であるかないかの区別の変更があった場合、70歳以上被用者についても「特定4分の3基準未満短時間労働者」であるかないかの区別の変更があった場合、それぞれの場合につき、当該事実があった日から5日以内に、「健康保険・厚生年金保険被保険者区分・厚生年金保険70歳以上被用者区分 変更届」(18_8.pdf へのリンク)を提出しなければなりません。つまり、一般の被保険者から短時間労働者に変更になった場合、あるいは、その逆の場合に提出するものです。

また、70歳以上の短時間労働者を新たに雇用した場合や70歳未満の厚生年金保険の被保険者である短時間労働者が70歳に達し引き続き雇用される場合には、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届_厚生年金保険70歳以上被用者該当届」(18_10.pdf へのリンク)を提出しなければなりません。後者の場合には、さらに、「厚生年金保険被保険者資格喪失届_厚生年金保険70歳以上被用者該当届」(在職中の者が70歳に到達した場合は当該届を使用しますのでご留意下さい)(18_11.pdf へのリンク)も同時に提出しなければなりません。これは、厚生年金保険の被保険者は原則として、適用事業所に使用される70歳未満の者とされているためです。これを「当然被保険者」(なお、適用事業所以外の事業所(弊事務所のような個人の社労士事務所などがこれに当たります)に使用される者も個人で任意に被保険者になることができる「任意単独被保険者」という制度もあります。この場合には、事業主の同意や厚生労働大臣の認可がその要件となります)と言います。
また、例外として、70歳以上の者で、老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有しない者は当該受給権を取得するまでの間、個人で任意に被保険者になることができる制度もあります。これを「高齢任意加入被保険者」と言います。「高齢任意加入被保険者」についても、適用事業所に使用される者か適用事業所以外の事業所に使用される者かの区別により、その要件に差異があります。
上記の届出の対象となった者が退職や死亡した場合には、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届_厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」(18_9.pdf へのリンク)を提出しなければなりません。また、それらの対象者が健康保険の被保険者である場合にも、当該届を提出しなければなりません。

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