被保険者報酬月額算定基礎届について


令和2年6月25日更新

※ 算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和2年度)(20_1.pdf へのリンク)

※ なお、今般、日本年金機構より、新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえた「標準報酬月額の特例改定」という特例措置が制度化されることになった旨の情報が令和2年6月25日、同機構のホームページにおいて公表されています。「新型コロナウィルス感染症関係」に詳細を記載しています。ご確認下さい。

健康保険及び厚生年金保険の被保険者の実際の報酬とその者の標準報酬月額との間に大きな乖離が発生しないように、令和2年7月1日現在で使用しているすべての被保険者について、令和2年4月から6月に支給した報酬(実際にこの3箇月の間に支給した報酬となります。例えは、3月末締め4/25支給の3月分の報酬であっても、それは4月の支給ですから、対象になります)を、事業主から「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」(20_2.pdf へのリンク)によって届出していただき、その届出内容に基づき、毎年1回標準報酬月額を決定します。これを「定時決定」といいます。「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」により決定された標準報酬月額は原則として、1年間(令和2年9月から令和3年8月まで)の各月に適用され、納めていただく保険料の計算や将来受け取る年金額等の計算の基礎となります。令和2年9月からということは、実務的には、令和2年10月に支給される報酬から、「決定された標準報酬月額」に基づき計算されたそれぞれの保険料が控除されることになります。

「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」の提出の対象となるのは、令和2年7月1日現在の全ての被保険者です。ただし、次の①から③のいずれかに該当する者は「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」の提出は不要です。
①6月1日以後に資格取得した者→例えば、6/1付で入社した者が対象で、この場合は「資格取得時決定」ということになります。なお、当該「決定された標準報酬月額」に基づき計算されたそれぞれの保険料は、6月に支給される報酬からは控除されず、7月に支給される報酬から控除されることになります。
②6月30日以前に退職した者
③7月改定の「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届」(20_33.pdf へのリンク)を提出する者→この7月改定というのは、「固定的賃金」の変動により、4月から6月に支給された3箇月間の報酬に基づき算定される「標準報酬月額」の等級と「現行の標準報酬月額」の等級との間に2等級以上の差が発生した場合に改定されるもので、これを「随時改定」と言います。7月改定ということは8月支給の報酬から、「改定された標準報酬月額」に基づき計算されたそれぞれの保険料が控除されることになります。よって、同じ4月から6月の3箇月間を対象にしているとはいえ、「定時決定」の対象になった場合は10月支給の報酬からの控除になるのに対して、「随時改定」の対象になった場合には8月支給の報酬からの控除ということになります。
「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」を提出した後に、8月及び9月での随時改定に該当した者については、随時改定が優先されますので、別途「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届」の提出が必要となります。また、「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」を提出した後に限らず、7月提出時において、8月又は9月に随時改定が予定されている旨の申出を行った場合にも、随時改定が優先されるとのことですので、その場合にも「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」の提出が省略(紙媒体での届出と電子媒体及び電子申請による届出とではその方法が違いますのでご留意下さい)できるとのことです。当該事項に関しては、日本年金機構ホームページ「8月、9月の随時改定予定者にかかる算定基礎届の提出について」においても掲載され、詳細が解説されていますので、ご参照下さい。
なお、例えば、昇給等により「固定的賃金」の変動があったとしても、それのみでは2等級以上の差が発生しなくても、「非固定的賃金」と合わせて2等級以上の差が発生した場合にも「随時改定」の対象になります。

また、想定外の事態により業務が多忙を極め、時間外労働等が増えた関係で、仮に、4月から6月までの3箇月間に支給された報酬が例月に比し大幅に増えた場合で、標準報酬月額の比較をしたところ、2等級以上の差が発生したとしても、この場合は「固定的賃金」の変動には当たらないことから、「随時改定」ではなく、やはり「定時決定」の対象ということになります。その場合には、「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」の備考欄にその旨注記することをお忘れのないようにして下さい。

なお、「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」、「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届総括表」(20_4.pdf へのリンク)及び「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届」についても、届出用紙による方法のほか、電子媒体(CD又はDVD)申請や電子申請(e-Gov)による方法もあります。弊事務所では、いずれの方法でも対応可能にしておりますので、是非ご用命いただきたくお願い申し上げます。電子申請の場合については、それら社会保険手続を「SmartHR」といったクラウト系のシテスムをも活用することで、「e-Gov」への接続をすることなく、同社の同システム内で電子申請手続が完結する形(API連携)になっており、スムーズに処理できる体制が整っています。

【保険者算定】

通常定められた方法によって報酬月額を算定することが困難な場合や著しく不当である場合、保険者において報酬月額を算定し標準報酬月額を決定します。これを「保険者算定」と言います。
①算定が困難な場合
・病気欠勤等によって4月から6月までの3箇月において報酬を全く受けなかった場合→従前の標準報酬月額で決定
・報酬の支払基礎日数が4月から6月までの3箇月とも17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)未満の場合→従前の標準報酬月額で決定
②著しく不当な場合
・4月から6月までの3箇月において、3月分以前の報酬の遅配を受け、又は、遡った昇給によって数箇月分の差額を一括して受けるなど通常受けるべき報酬以外の報酬を当該期間において受けた場合→遅配分又は昇給差額分を差し引いて報酬月額を算定します
・4月から6月までの3箇月のうちいずれかの月において、一時帰休による休業手当の支給を受けた場合➣「算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和2年度)」3.標準報酬月額の算出方法および算定基礎届の記載方法 (2)ケースごとの標準報酬月額の算出方法と算定基礎届の記載方法 ケース⑦において、解説されていますので、ご参照下さい。新型コロナウィルス感染症の影響により、当該事例が想定されますので、ご留意下さい。
令和2年7月1日時点で当該事象が解消されていない場合は、当該支給があった月及び通常の報酬を受けた月も併せて報酬月額を算定します。
令和2年7月1日時点で当該事象が解消されている場合は、2箇月以下の月が該当する場合は、当該月を除いて報酬月額を算定します。また、3箇月とも該当する場合は、従前の標準報酬月額にて決定します。
・4月から6月までの3箇月のうちいずれかの月においてストライキによる報酬カットがあった場合→2箇月以下の月が該当する場合は、当該月を除いて報酬月額を算定します。また、3箇月とも該当する場合は、従前の標準報酬月額にて決定します。
・給与計算期間の途中(途中入社月)で資格取得したことにより、4月から6月までの3箇月のうちいずれかに1箇月分の報酬が受けられなかった月がある場合→当該1箇月分の報酬が支給されなかった月を除いて報酬月額を算定します。

報酬月額の算定の特例」(年間)について】
<定時決定の場合>
・「当年の4月から6月までの3箇月間に受けた報酬の月平均額から算定した標準報酬月額」と「前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算定した標準報酬月額」との間に2等級以上の差が発生した場合であって、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合(いずれも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)未満の月を除く)→この場合には、 前年7月から当年6月までの間に受けた報酬の月平均額から算定した標準報酬月額にて決定します。
これは、4月から6月までの3箇月間に受ける報酬の対象となる月々において、例年、季節的な要因等により業務が過度に集中する結果、他の月に比し、時間外労働等が大幅に増えてしまう場合があります。その結果、時間外手当等が支給されることで4月から6月までに受ける報酬の額も大幅に増えてしまい、当該3箇月だけで報酬月額を算定し標準報酬月額を決定することは著しく不当な結果を招くことになるからです。
このような場合は、「報酬月額の算定の特例」(年間)にて決定 してもらうために、「年間報酬の平均で算定することの申立書」(20_5.pdf へのリンク) (記入例)(20_6.pdf へのリンク)をもって申立を行い、合わせて、「保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等」(20_7.pdf へのリンク) (記入例)(20_8.pdf へのリンク)の書面を添付することになります。それぞれの様式と記入例をリンクさせていただきますのでご参照下さい。
<随時改定の場合>
平成30年10月1日以後の「随時改定」から適用されることになった「年間報酬の平均で算定することの申立」が追加措置されています。
3箇月間の報酬の平均から算出した標準報酬月額(通常の随時改定の計算方法により算出した標準報酬月額)と、昇給月又は降給月以後の継続した3箇月の間に受けた固定的賃金の月平均額昇給月又は降給月前の継続した9箇月及び昇給月又は降給月以後の継続した3箇月の間に受けた非固定的賃金 の月平均額を加えた額から算出した標準報酬月額(年間平均額から算出した 標準報酬月額)との間に2等級以上の差があり、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合であって、従前の標準報酬月額と年間平均額から算出した標準報酬月額との間に1等級以上の差がある場合は、保険者算定の対象にするというものです。
※参考までに、様式としては、「年間報酬の平均で算定することの申立書(随時改定用)」(20_9.pdf へのリンク)及び「被保険者報酬月額変更届・保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等(随時改定用)」(20_10.pdf へのリンク)になります。
※上記を図表にしましたので、ご参照下さい。


【継続雇用された者の被保険者資格の得喪について】
(20_12.pdf へのリンク)
・同一の事業所において、雇用契約上一旦退職した者が1日の空白もなく継続して再雇用された場合は、依然使用関係が存続しているものとして、原則としては、被保険者資格は継続します。
・ただ、60歳以上の者で、退職後も継続して再雇用された場合は、使用関係が一旦中断したものとみなし、事業主からは同日付けで「被保険者資格取得届」と「被保険者資格喪失届」を提出しても差し支えない旨の取扱いが認められています。したがって、例えば、3/末退職(形式上)だとすれば、被保険者資格の喪失日は4/1付になり、さらに同日付で被保険者資格の取得となります。
・上記のような取扱いがなければ、仮に、3月末で一旦退職し、再雇用後の報酬が退職前のそれを大幅に下回って、標準報酬月額に2等級以上の差が発生した場合には、4月から6月までの3箇月間に受けた報酬に基づき報酬月額を算定し、標準報酬月額を改定するという「随時改定」(この場合の改定月は7月からで、変動後の報酬月額に基づいて改定された標準報酬月額により算定された変動後の保険料の徴収はその翌月の8月支給の報酬からとなります)の対象になり、従って、報酬から控除される健康保険料と厚生年金保険料については、7月支給の報酬までは従前の高い方の保険料負担になってしまいます。そのような弊害を避けるために、「資格取得時決定」の対象とすることで、再雇用後の保険料負担を軽減しているわけです。その場合には、当該軽減後の保険料は5月支給の報酬から控除されることになります。


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