障害者の法定雇用率について


令和2年10月20日更新

「法定雇用率」とは、労働者数が一定以上の一般民間企業や国・地方公共団体等に対し、「障害者雇用率制度」(障害者雇用率制度の概要)(22_5.pdf へのリンク)の中で義務付けられた障害者雇用の最低比率のことを言います。全労働者数に占める障害者数の割合で、これが「法定雇用率」を下回らないようにする必要があります。
平成30年4月1日から、この「法定雇用率」が引き上げられました。当該引き上げは、平成30年4月から精神障害者の雇用が義務付けられた(22_7.pdf へのリンク)ことに伴い、当該障害者の数が法定雇用率等の算定基礎に加わったことを踏まえたものです。
※厚生労働省が公表しているリーフレットはこちら(障害者の法定雇用率の引上げについて(平成30年4月1日から))(22_1.pdf へのリンク)から

【一般民間企業における法定雇用率設定基準】
以下の算定式による割合を基準として設定します。

法定雇用率=(身体障害者及び知的障害者である常用労働者の数+ 失業している身体障害者及び知的障害者の数)/(常用労働者数-除外率相当労働者数+失業者数)
雇用義務となる障害者数を算出する際に、障害者が就業することが困難とされる職種の労働者が相当の割合を占める業種の事業所につい て、業種ごとに定めた割合(除外率)により雇用義務の軽減を図るためのものです。平成16年4月と平成22年7月に、それぞれ、全業種一律に10%の引き下げが実施されています。現行の除外率設定業種及び除外率はこちら(22_12.pdf へのリンク)から。

施行期日平成30年4月1日以後、上記「法定雇用率」の算定基礎の対象に、新たに精神障害者を追加します。つまり、上記算式中の下線部分が、身体障害者、知的障害者及び精神障害者になるというものです。
●短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)は、1人を0.5人としてカウント
ただし、平成30年4月1日から、精神障害者である短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)であって、その雇入れから3年以内の者又は精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の者に係るカウントにおいて、令和5年3月31日までに雇入れられた者1人をもって1人とみなすこととする措置が実施されています。精神障害者が「法定雇用率」の算定基礎の対象に加わることで「法定雇用率」の引き上げに繋がり、引いては、平成30年4月からの精神障害者の雇用義務化も合わせて、一層の障害者雇用の促進に繋がることが期待されています。
※障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令について(平成30年4月1日から)はこちら(22_6.pdf へのリンク)から
●重度身体障害者、重度知的障害者は1人を2人としてカウント。ただし、短時間の重度身体障害者・重度知的障害者は1人としてカウント
●なお、精神障害者については、当該引き上げ前は雇用義務の対象ではなかったものの、「実雇用率」の算定時には障害者数に算入することができていました。

【一般民間企業の場合の法定雇用率の今後の推移】
現行の法定雇用率2.0%→平成30年4月1日以後2.2%へ→令和3年4月までにさらに0.1%UPし2.3%へ段階的に引き上げられます。つまり、現行では従業員が50人以上となっているものが、平成30年4月1日以後はそれが45.5人以上となり、さらに令和3年4月までにそれが43.5人以上になるというものです。つまり、障害者の雇用義務化の対象となる事業主が増えることになり、前記しましたように、障害者雇用の一層の促進に繋がるということです。
 なお、令和2年7月31日に開催された第97回労働政策審議会障害者雇用分科会においては、その引き上げ時期が令和3年1月1日からとの方向性が示されています。さらに、引き続いて令和2年8月21日に開催された第98回労働政策審議会障害者雇用分科会における使用者側、労働者側、障害者側及び公益側から寄せられた様々な意見を踏まえ、その引き上げ時期が最終的には、令和3年3月1日へ後倒しされています。


なお、「実雇用障害者数」のカウント方法は下記の通りとなります。
重度身体・重度知的障害者→ 短時間労働者 1人 / 短時間労働者以外の労働者 2人
身体・知的障害者→ 短時間労働者 0.5人 / 短時間労働者以外の労働者 1人
精神障害者→ 短時間労働者 0.5人(ただし、上記「みなし措置」の場合→1人) / 短時間労働者以外の労働者 1人
<事例> 常用雇用労働者数→30人  短時間雇用労働者→31人 の場合
・現行→30人+(31人×0.5)×2%=0.91(1人未満の端数がある場合は切捨てとなるため、法定雇用義務はなし)
・平成30年4月から→30人+(31人×0.5)×2.2%(平成30年4月から)=1.001(1人未満の端数がある場合は切捨てとなるが、法定雇用義務の数は1人となる)

※なお、国、地方公共団体等の法定雇用率は2.3%→2.5%→2.6%へ、都道府県等の教育委員会のそれは2.2%→2.4%→2.5%へ、それぞれ引き上げられています。

【その他注意事項】
雇用義務のある事業主は毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。
※障害者雇用状況報告書の様式はこちら(障害者雇用状況報告書)(22_2.pdf へのリンク)から

※参考までに、厚生労働省が公表している「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の概要」はこちら(22_3.pdf へのリンク)から

※障害者を労働者として雇用する事業主向けの「助成金制度」についてはこちら(22_4.pdf へのリンク)から(障害者雇用納付金制度に基づく独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構によるもの)
※上記とは別に、障害者を雇い入れた場合などの雇用関係助成金については、厚生労働省ホームページ内に一部掲載されていますので、ご参照下さい。

【特記事項】
平成30年8月(平成30年8月22日現在)に発覚した一部中央省庁や一部県(教委)・政令市(教委)による「障害者雇用の水増し問題」に関しては、範となるべき中央省庁等による水増しであり、言語道断の誹りは避けられないものと考えられ、極めて残念な事象であると言わざるを得ません。さらに、法定雇用率を満たせない一般民間企業(常用労働者数100人超)からは障害者雇用納付金を徴収する「障害者雇用納付金制度(22_8.pdf へのリンク)を設けるなど一般民間企業に対して法定雇用率を確保させるための施策がある中での中央省庁等による水増しは当該制度の根幹を揺るがす事象であると言わなければなりません。
 法定雇用率を達成できない事業主からは「納付金」を徴収し、それを原資として、逆に、法定雇用率を超えて障害者を雇用する事業主に対しては「調整金」を支給する制度のこと。「納付金」は不足1人につき50,000円/月、「調整金」は超過1人につき27,000円/月(なお、常用労働者100人以下の事業主に対しては、「調整金」ではなく、「報奨金」として21,000円/月)になります。

平成30年8月28日に厚生労働省から発表された「国の行政機関における平成 29 年6月1日現在の障害者の任免状況の再点検結果について」(22_9.pdf へのリンク)を見ると、障害者数は6,867.5 人から3,460.5 (3,445.5)人減少して3,407.0 (3,422.0)人となっており、ほぼ半数は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」で定義する障害者ではなかったことになりました。また、実雇用率は2.49%から1.19(1.18)%と、不足数(「再点検後の法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数(平成29年6月1日現在)」×「法定雇用率2.3%(同)」-「再点検後の実際の障害者数(同)」)は2.0 人から3,396.05(3,478.5)人となりました。極めて由々しき事態となっています。
なお、厚生労働省より平成30年10月22日付で公表された『平成30年8 月28日に公表した「国の行政機関おける平成29年6月1日現在の障害者の任免状況の再点検結果について」の訂正について』と題するプレスリリース(22_10.pdf へのリンク)によると、訂正後の数値が上記の(  )内の数値の通りとなったとのことである。 国の行政機関以外にも、立法機関や司法機関、さらには、都道府県と市町村の機関、都道府県等の教育委員会及び独立行政法人等における平成29年6月1日現在の障害者の任免状況等の再点検結果(22_11.pdf へのリンク)についてもあわせて公表されています。

また、平成30年8月22日、厚生労働省は労働政策審議会障害者雇用分科会に対し、同年7月末に取りまとめられた「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」の報告書を説明した。その中では、障害者雇用が進まない中小企業の雇用促進を図る手段として、「障害者雇用納付金制度」の適用対象企業を現行の常用労働者100人超から50人以上に拡大する案などが挙げられているとのことであるが、今般の「障害者雇用の水増し問題」の解決なくしての一般民間企業への同制度適用拡大化は決して理解を得ることができないものと考えられ、同分科会での議論の行方は注目されることになろうと思われる。

【障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の概要】(公布日➣令和1年6月14日)(22_13.pdf へのリンク)
上記「障害者雇用の水増し問題」を受け、国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置、さらには、障害者の雇用を一層促進するために 、一般民間企業に対する短時間労働以外の労働が困難な状況にある障害者の雇入れ及び継続雇用の支援に関する措置を講じる旨を定めたものである。概要は下記の通りとなります。なお、施行予定日は一部を除き、令和2年4月1日です。

1.障害者の活躍の場の拡大に関する措置
⑴国及び地方公共団体に対する措置
①自ら率先して障害者を雇用する努力義務➣施行は公布日(令和1年6月14日)
②厚生労働大臣に対しては、「障害者雇用対策基本方針」に基づく「障害者活躍推進計画作成指針」の策定義務、国及び地方公共団体に対しては、同指針に即した「障害者活躍推進計画」の作成・公表義務(令和2年4月1日)
③国及び地方公共団体に対しては、「障害者雇用推進者」及び「障害者職業生活相談員」の選任義務➣施行は公布日から起算して3箇月を超えない範囲内において政令で定める日(令和1年9月6日)
④国及び地方公共団体に対しては、厚生労働大臣に通報した障害者の任免状況の公表義務➣施行は公布日から起算して3箇月を超えない範囲内において政令で定める日(令和1年9月6日)
⑤国及び地方公共団体に対しては、障害者である職員を免職する場合の公共職業安定所長への届出義務➣施行は公布日から起算して3箇月を超えない範囲内において政令で定める日(令和1年9月6日)
⑵一般民間企業に対する措置
①短時間であれば就労可能な障害者の雇用機会を確保するため、短時間労働者のうち週所定労働時間が一定の範囲(週所定労働時間10時間以上20時間未満)内にある者(特定短時間労働者)を雇用する一般民間企業に対しての「障害者雇用納付金制度に基づく特例給付金」支給制度の創設(令和2年4月1日)
 次のいずれをも満たす障害者を言います。
・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等を保持する障害者
・1年を超えて雇用される(見込のある)障害者
・週所定労働時間10時間以上20時間未満の障害者
(支給額など)
・常用労働者100人超の事業主が「特定短時間労働者」である障害者を雇用した場合には、1人につき7,000円/月(なお、100人以下の場合には、5,000円/月)の「特例給付金」が支給されます。ただし、「特例給付金」の支給限度人数は、当該事業主が雇用する週所定労働時間20時間以上(短時間労働者以上)の障害者数となるため、例えば、障害者(身体・知的障害者のみ、かつ非重度)を短時間労働者として4人、短時間労働者以外の労働者として2人雇用している場合は、実雇用障害者数4人(4人×0.5+2人)となり、仮に、「特定短時間労働者」を8人雇用していても、支給される「特例給付金」は28,000円(7,000円×4人)になります。そして、常用労働者数が短時間労働者として300人、短時間労働者以外の労働者として200人雇用している事業主の場合には、法定雇用障害者数は7人(300人×0.5+200)×2.2%(現行の一般民間企業の法定雇用率)=7.7➣1人未満の端数がある場合は切捨て)となります。この場合、3人不足で「納付金」として50,000円×3人=150,000円が徴収されることになり、一方、「特例納付金」として上記28,000円が支給されることになります。

なお、その他の条件については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページにおいて掲載されているリーフレット(22_14.pdf へのリンク)をご参照下さい。
②障害者の雇用の促進等に関する取組に関し、その実施状況が優良なものであること等の基準に適合する中小事業主(常用労働者300人以下)向けの認定制度の創設(令和2年4月1日)

2.国及び地方公共団体における障害者雇用状況の的確な把握等に関する措置
⑴厚生労働大臣又は公共職業安定所長による国及び地方公共団体に対する報告徴収制度の創設➣施行は公布日(令和1年6月14日)
⑵国及び地方公共団体並びに一般民間企業に対する障害者雇用率の算定対象となる障害者の確認に関する書類の保存義務➣施行は公布日から起算して3箇月を超えない範囲内において政令で定める日(令和1年9月6日)
⑶障害者雇用率の算定対象となる障害者であるかどうかの確認方法の明確化とともに、厚生労働大臣には、必要があると認めるときは、国及び地方公共団体に対して確認の適正な実施を求めるための勧告権限を与える➣施行は公布日から起算して3箇月を超えない範囲内において政令で定める日(令和1年9月6日)

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