3歳未満の子を養育する場合の標準報酬月額の特例について


令和1年7月11日更新

『本ページについては、多くの方々にアクセスしていただているようです。この場を借りましてお礼を申し上げます。なお、ご不明な点やご相談等ございましたら、お問い合わせフォーム等をご活用いただきましてお気軽にお問い合わせいただけましたらありがたく存じます。お問い合わせに接することで弊職の力量アップに繋がります。また、既に退職(被保険者だった者)している場合は事業所の確認を受けずに、本人から直接提出することができますが、当該特例の申出書等の作成は煩雑な作業を要しますので、社会保険労務士にお任せいただければと思います。改めてお願い申し上げます。』

3歳未満の子を養育する被保険者(被保険者だった者も含む)の標準報酬月額が、当該子の養育開始前の標準報酬月額(これを「従前標準報酬月額」という)を下回った場合には、被保険者(同)が申し出る(被保険者が申し出る場合は事業主を経由して)ことで、その下回った期間について、老齢厚生年金等の額の計算上は「従前標準報酬月額」であったとみなすものである。よくある事例としては、産前産後休業、育児休業等を経て職場復帰したが、所定労働時間勤務するのではなく、育児を行うために勤務時間の短縮等の措置を受けたことで、その結果として毎月の報酬の額が従前よりも低下する場合が想定されます。

つまり、育児休業等を終了し職場復帰したときに勤務時間の短縮等の措置を受けると当然、毎月の報酬の額が低下することになります。その場合は「育児休業等終了時改定」という標準報酬月額の改定を申し出て、標準報酬月額を従前のものに比し低下させることで、厚生年金保険料の負担の軽減化が図れるというメリットを享受できるわけです。しかし、それでは、将来の年金受給額という面から見ると、改定後の標準報酬月額(低下後のもの)に基づいて当該額の算定がなされてしまい、不利になってしまいます。そこで、安心して子育てができる環境整備の一環として、本制度が設けられているわけです。
なお、保険料は実際の標準報酬月額を用いて算定されることになります。また、当該申出が遅れた場合には、その下回った期間は当該申出が行われた日の属する月の前月までの2年間のうちにあるものに限ります。

「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」(23_1_1_31.pdf へのリンク)
令和1年5月から、当該申出書等については、被保険者本⼈の署名(又は押印(なお、自署した場合には押印は省略できます))について、事業主が被保険者本⼈の申出の意思を確認し、当該申出書等の備考欄に、「届出意思確認済み」と記載した場合は、被保険者本⼈の署名(又は押印)を省略(つまり、当該申出書等にある「申出者署名欄」に住所や氏名等の記載が不要になる)することが可能となりました。また、電子申請等の場合には、本来であれば、被保険者の署名(又は押印)ではなく委任状の添付が必要ですが、事業主が上記対応をすれば、その委任状を省略することが可能となりました。なお、当該申出書等以外にも、「年⾦⼿帳再交付申請書(23_1_1_6.pdf へのリンク)」「健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届(23_1_1_7.pdf へのリンク)」「国民年金第3号被保険者関係届(23_1_1_8.pdf へのリンク)」についても同様の取扱いとなっています。

別に、産前産後休業終了時にも同じく「産前産後休業終了時改定」という制度があります。また、産前産後休業期間中及び育児休業等期間中については、さらに、健康保険・厚生年金保険の保険料の免除制度も用意されています。詳細については、人事労務トピックスにある「子育て支援制度Ⅲ」をご参照下さい。

当該養育特例の対象期間を具体的に言うと、

養育を開始した日の属する月から、養育を終了した日の翌日の属する月の前月まで

となります。

【特例の対象となる期間の始期】
次の事実が生じた日の属する月からが特例の対象となります。
●3歳未満の子を養育することとなった日(例えば、子が出生した日など)
●3歳未満の子を養育する者が新たに被保険者の資格を取得した日(※1)
➣この場合には、資格取得年月日を「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」にある「養育特例開始年月日」欄に記入する必要があります。記入例はこちら(23_1_1_4.pdf へのリンク)から
※1 冒頭に記載しました「従前標準報酬月額」とは養育開始月の前月(「基準月」と言います)の標準報酬月額のことを言いますが、養育開始月の前月に厚生年金保険の被保険者でない場合には、その月(=養育開始月の前月)前1年以内の直近の被保険者であった月の標準報酬月額が「従前標準報酬月額」とみなされます。従って、その月前1年以内に被保険者期間がない場合は、当該特例措置は受けられないとのことです。端的に言うと、前職を退職後、再就職するまでの期間が1年を超えるような場合が当てはまります。
子を養育している者が当該子を保育所等に入れることができたために、例えば、その翌月から再就職したような場合が想定されると思われます。養育開始月と資格取得月とが同一の場合もあると思われますが、月がずれた場合は、資格取得月が養育特例開始月ということになり、当該月から当該特例措置が適用されることになるわけです。当該月において、標準報酬月額の「資格取得時決定」がなされることで、例えば、前職時の「従前標準報酬月額」との対比(なお、対比するのは、養育開始月の前月前1年以内の直近の被保険者であった月(この場合も、「基準月」と言います)の標準報酬月額となります)が可能となるわけです。

●育児休業等(保険料免除の規定の適用を受けたもの)が終了した日の翌日が属する月の初日(つまり、当該月から)(従って、育児休業等を終了した日が月末日である場合は翌月の初日ということになります)
例えば、第1子につき育児休業等が終了した場合や、第1子の養育期間が終わって、第2子の産前産後休業を経て育児休業等が終了した場合(ただし、当該育児休業等を終了した日の翌日が属する月に産前産後休業(保険料免除の規定の適用を受けたもの)を開始している場合は除く)。
➣この場合には、育児休業等を終了した日の翌日を「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」にある「養育特例開始年月日」欄に記入する必要があります。
●産前産後休業(保険料免除の規定の適用を受けたもの)が終了した日の翌日が属する月の初日(つまり、当該月から)(従って、産前産後休業を終了した日が月末日である場合は翌月の初日ということになります)
例えば、第1子につき産前産後休業が終了した場合や、第1子の養育期間が終わって、第2子の産前産後休業も終了した場合(ただし、当該産前産後休業を終了した日の翌日が属する月に育児休業等(保険料免除の規定の適用を受けたもの)を開始している場合は除く)。
➣この場合には、産前産後休業を終了した日の翌日を「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」にある「養育特例開始年月日」欄に記入する必要があります。
●養育特例を受けることになる子(例えば、第2子)以外の子(例えば、第1子)に係る養育特例の適用を受ける期間の最終月の翌月の初日(つまり、第2子の養育を開始する月から)
➣この場合には、特例措置終了年月日の翌日を「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」にある「養育特例開始年月日」欄に記入する必要があります。

【特例の対象となる期間の終期】
次の事実に該当するに至った日の翌日の属する月の前月までが特例の対象となります。
●子が3歳に達した日
●被保険者がその資格喪失事由(会社を退職した場合など)のいずれかに該当した日
●養育特例の適用を受けている子(例えば、第1子)以外の子(例えば、第2子)について養育特例の適用を受ける場合における当該子(例えば、第1子)以外の子(例えば、第2子)を養育することとなった日(つまり、第2子を養育することとなった日)
●子が死亡したとき又は子を養育しないこととなった日
➣この場合には、当該日を「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」にある「養育特例終了年月日」欄に記入する必要があります。(※2)記入例はこちら(23_1_1_5.pdf へのリンク)から
●育児休業等(保険料免除の規定の適用を受けたもの)を開始した日
例えば、第2子の育児休業等を開始したとき
●産前産後休業(保険料免除の規定の適用を受けたもの)を開始した日
例えば、第2子の産前産後休業を開始したとき

※2 当該事実以外の事実については、そもそも、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」の提出は要しません。

【具体的な事例に即して】
上記以外にも、「従前標準報酬月額」はどの時点のものを基準(「基準月」という)とするのかといった点や、例えば、第1子の子育て中に第2子を妊娠し、その後、第2子に係る産前産後休業や育児休業等を経て、第2子についても本件特例措置を受ける場合の留意点等についても言及しなければなりませんが、それらを文章で説明すると却って理解し辛い部分もありますので、時系列にした表を作成してみましたので、当該表をご覧いただきながら、理解を深めていただければと思います。

※時系列にした表はこちら(23_1_1_11.pdf へのリンク)(23_1_1_212.pdf へのリンク)から

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