配偶者の加給年金額について


加給年金額は、厚生年金保険(共済組合等も含む)の被保険者期間が20年以上(なお、「中高齢者の資格期間の短縮の特例(人事労務トピックスにある「年金給付の経過措置について」において、解説箇所があります。ご参照下さい)」を受ける者は、その者の生年月日に応じて厚生年金保険(第1号厚生年金保険)のみの被保険者期間が15年から19年以上ある場合には、20年以上とみなされます)ある者が65歳到達時点又は特別支給の老齢厚生年金に係る定額部分の支給開始年齢に到達した時点で、当該原則支給の老齢厚生年金又は特別支給の老齢厚生年金の受給権者に生計を維持されている、65歳未満の配偶者(一定の子もあるが説明省略)がいるときに加算されるものですが、

ただし、当該配偶者自身が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上又は共済組合等の加入期間を除いた期間(つまり、第1号厚生年金保険被保険者期間)が、40歳(女性等の場合は35歳)以降、生年月日に応じて15年から19年以上ある場合(上記しました「中高齢者の資格期間の短縮の特例」に該当して、20年以上あるとみなされる場合のこと)に限る)、又は障害基礎(厚生)年金等を受けられる間は、配偶者に係る加給年金額は支給停止されます。

ただ、上記の「20年以上」という部分については混乱する場合も考えられますので、以下整理します。

そもそも、加給年金額は妻(一般的な場合)が65歳になるまで加算されるものであることを考えると、その加給年金額の対象となる妻に係る「特別支給の老齢厚生年金(下記図表をご参照下さい)」つまり、60歳代前半に支給されることになる老齢厚生年金について当てはめて判断をすればいいことになります。つまり、当該妻に支給される「特別支給の老齢厚生年金」に係る被保険者期間が20年以上あれば、加給年金額は加算されないことになるわけです。



【「特別支給の老齢厚生年金」を受給できない場合】
第1号厚生年金保険被保険者の女子の場合で昭和41年4月2日(第1号厚生年金保険被保険者の男子及び第2号から第4号厚生年金保険被保険者の女子の場合は昭和36年4月2日)以後に生まれた妻(夫)はそもそも「特別支給の老齢厚生年金」を受給する資格がないため、当該妻(夫)につき厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あったとしても、その夫(妻)には当該妻(夫)が65歳になるまでは加給年金額が加算されます。というのも、当該妻(夫)は65歳になってはじめて受給権が発生することになり、65歳未満の間は、原則支給の老齢厚生年金は受けられないからです。
●また、第1号厚生年金保険被保険者の女子の場合で昭和41年4月1日(第1号厚生年金保険被保険者の男子及び第2号から第4号厚生年金保険被保険者の女子の場合は昭和36年4月1日)以前に生まれ、まだ「特別支給の老齢厚生年金」の支給が始まっていない妻(夫)は、当該妻(夫)につき厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あったとしても、その夫(妻)には加給年金額が加算されます。

 これら種別については、平成27年10月1日施行の「被用者年金一元化法」に基づき、定められたものです。人事労務トピックスにある「年金給付の経過措置について」の「4つの種別」をご参照下さい。また、第1号厚生年金保険被保険者の女子を除いて、他の種別についての特別支給の老齢厚生年金(退職共済年金)の支給開始年齢は同じスケジュールで引き上げられています。つまり、第1号厚生年金保険被保険者の女子だけは他の種別から5年遅れとなっており、これは被用者年金一元化後も変更されていません。

【「特別支給の老齢厚生年金」を受給できる場合】
●第1号厚生年金保険被保険者の女子の場合で昭和41年4月1日(第1号厚生年金保険被保険者の男子及び第2号から第4号厚生年金保険被保険者の女子の場合は昭和36年4月1日)以前に生まれ、既に「特別支給の老齢厚生年金」の支給が始まっており、その後65歳前に退職した妻(夫)で、その時点で、当該妻(夫)につき厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある場合は、その夫(妻)には加給年金額が加算されません

少し分かり辛いと思いますので下記に事例を示しますのでご確認下さい。
例えば、61歳から「特別支給の老齢厚生年金」の支給が始まったとして、その時点での厚生年金保険の被保険者期間が仮に18年であったとしたら、63歳の時点で当該期間が20年になります。ただ、依然在職中のままであるならば、いわゆる「退職時改定 ( 人事労務トピックスにある 「在職老齢年金制度」において、解説箇所があります。ご参照下さい)」は行われず、61歳の時点での厚生年金保険の被保険者期間である18年を基にした「特別支給の老齢厚生年金」の支給が継続され、さらに、その夫(妻)には加給年金額の加算が継続します。そして、その後、64歳6箇月で退職したとしたら、その時点で現実に「退職時改定」が行われて、当該改定では、厚生年金保険の被保険者期間である21年6箇月を基にした「特別支給の老齢厚生年金」が算出されることになります。従って、その時点で、その夫(妻)には加給年金額は加算されません(支給停止されます)。また、その後65歳になった当該妻(夫)には、「振替加算」は加算されません。

さらに踏み込んで、事例を基に解説しますと、
・昭和31年8月15日生まれの女性とします。この女性の場合、国家公務員として共済年金に19年間加入した後、民間企業に転職して厚生年金保険に18年間加入して、60歳に達した日に退職したとします。
➣この女性の場合は、特別支給の退職共済年金(報酬比例部分のみ)は62歳から支給され、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)は60歳から支給されます。
・上記女性の夫で昭和27年6月1日生まれとします。この夫の場合、民間企業に勤務し、厚生年金保険に33年間加入し、やはり60歳に達した日に退職したとします。
➣この夫の場合は、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)は60歳から支給されます。

下記イメージ図もご参照下さい。


この夫は厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あるため、この夫の場合で加給年金額が加算されることになる65歳に達した時点(平成29年5月、つまり誕生日の前日が属する月)では、加給年金額の対象となる配偶者の生計を維持していますので、当該配偶者の共済年金等の加入期間が20年未満であれば、平成29年5月(実際にはその翌月)から加給年金額が加算されます。なお、この夫が65歳に達した時点では、この女性は既に60歳に達しています。よって、特別支給の老齢厚生年金が支給開始されていることになります。そして、当該特別支給の老齢厚生年金については、被保険者期間が20年未満ですので、その夫には加給年金額が支給されることになります。しかし、この女性が62歳に達して、今度は、特別支給の退職共済年金が支給開始されると、当該時点で厚生年金保険の被保険者期間と共済年金の加入期間との合計が20年以上になり、加給年金額は支給停止されることになります。

※上記事例を時系列にした表はこちら(退職時改定)(4_1_1.pdf へのリンク)から

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