時間外労働手当等について


➣『働き方改革』➣【労働時間法制の見直しについて】➣1.残業時間の上限規制➣(参考)からの続き

「国際⾃動⾞事件」の最⾼裁判決(平成29年2月28日)(hatarakikatakaikaku_38.pdf へのリンク)の中で示された賃金規則における賃金構成は下記の通りとなります。

【国際自動車株式会社のタクシー乗務員賃金規則における賃金構成について】

1.基本給

1乗務(15時間30分)当たり12,500円を支給する。

2.服務手当(タクシーに乗務せずに勤務した場合の賃金)

タクシーに乗務しないことにつき、従業員に、
・責任のない場合は1時間当たり1,200円を支給する。
・責任のある場合は1時間当たり1,000円を支給する。

3.割増金及び歩合給を求めるための対象額(以下「対象額A」という)

対象額A=(所定内揚高-所定内基礎控除額)×0.53+(公出揚高-公出基礎控除額)×0.62
・所定内基礎控除額は,所定就労日の1乗務の控除額(平日は原則として29,000(35,000)円・土曜日は16,300(22,200)円・日曜祝日は13,200(18,800)円)に,平日・ 土曜日・日曜祝日の各乗務日数を乗じた額とする。
・公出基礎控除額は,公出(所定乗務日数を超える出勤)の1乗務の控除額(平日は原則として24,100(29,200)円・土曜日は11,300(16,400)円・日曜祝日は8,200(13,000)円)を用いて,所定内基礎控除額と同様に算出した額とする。

4.交通費

交通機関を利用して通勤する者に対し、非課税限度額の範囲内で実費支給する。

5.深夜手当

次のの合計額とする。
<(基本給+(安全手当)+服務手当)/(出勤日数×15.5時間)>×0.25×深夜労働時間
②(対象額A/総労働時間)×0.25×深夜労働時間

6.残業手当

次の①と②の合計額とする。
<(基本給+(安全手当)+服務手当)/(出勤日数×15.5時間)>×1.25×残業時間
②(対象額A/総労働時間)×0.25×残業時間

7.公出手当

・法定外休日(労働基準法において使用者が労働者に付与することが義務付けられている休日以外の労働契約に定められた休日)労働分は次のの合計額とする。
<(基本給+(安全手当)+服務手当)/(出勤日数×15.5時間)>×0.25×休日労働時間
②(対象額A/総労働時間)×0.25×休日労働時間

・法定休日労働分は次の①と②の合計額とする。
<(基本給+(安全手当)+服務手当)/(出勤日数×15.5時間)>×0.35×休日労働時間
②(対象額A/総労働時間)×0.35×休日労働時間

(    )及び(安全手当)+は、平成22年4月に改定される前の旧賃金規則に規定されていたものです。

8.歩合給(1)

次の通りとする(以下この定めを「本件規定」という)。
対象額A<割増金(深夜手当,残業手当及び公出手当の合計)+交通費>
(ただし、交通費は、7時間45分の乗務につき片道分として計算するものとする)

9.歩合給(2)➣旧賃金規則には規定がなかったもの

従前支給していた賞与に代えて支払う賃金として定められているもの。
(所定内税抜揚高-341,000円)×0.05

「対象額A」の算定の適否についてはともかく、当該額が歩合給に係る割増賃金額及び歩合給(1)そのものを算出するためのベースになっています。

【残業手当等の算出】
●それぞれの割増賃金率に関しては、労基法で定められた最低基準通りとなっており、説明するまでもありません。ただ、7.公出手当のうち法定外休日(いわゆる、所定休日)の割増賃金率については、法定休日の割増賃金率(35%以上)を適用する必要はありませんが、所定休日の労働が時間外労働に該当(ほとんどの場合は該当すると思われますが・・・)するのてあれば、時間外労働の割増賃金率(25%以上)を適用する必要があります。
●また、上記に関連して、法定内残業(定められた1日の所定労働時間を超え、労基法で定められた労働時間(つまり、法定労働時間)以内の範囲で⾏われた残業のことで、例えば、1日の所定労働時間が7時間の場合であれば、法定労働時間である8時間までの1時間のことを言います)の場合には、その1時間の部分については、基本的には、「通常の労働時間」として割増賃金率を乗じなくてもいいのですが、会社によっては、その部分も時間外労働と同じく25%以上の割増賃金率を乗じる場合もあります。
●なお、上記賃金構成のうち、6.残業手当の①の計算式の中の割増賃金率のみが「1.25」となって、それ以外は0.25や0.35となっているのは、残業手当を計算する際の残業時間としては、時間外・深夜・公出すべての労働時間を含んでいることを意味しているものと思われます。そして、公出手当については、さらに、0.25・0.35という割増賃金率を乗じることで、基本となる残業手当に上乗せする形<公出手当のうち法定外休日の場合→1.25+0.25=1.5(深夜の時間帯の場合は1.75)・公出手当のうち法定休日の場合→1.25+0.35=1.6(深夜の時間帯の場合は1.85)>での支給になっているものと思われます。ということであれば、その部分では恵まれた支給形態であろうと思われます。ただ、同社における支給実態は不明で、上記は推測の域を出ないことはご了承下さい。参考までに、労働時間の経過を下図にしてみましたのでご確認下さい。


【1時間当たりの賃⾦額の算出経過について】
次のように計算されます。
●⽉給(円)/1箇⽉当たりの平均所定労働時間
なお、ここでの「⽉給」には、次のものは含まれません。
家族(扶養)⼿当・⼦⼥教育⼿当・通勤⼿当・別居⼿当 ・単⾝赴任⼿当・住宅⼿当・臨時に支払われた賃金・1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金など、労働者の個人的な事情によるものや通常の賃金ではないものだからです。ただし、扶養家族数に関係なく一律に支給される家族(扶養)手当や全員に一律に支給される住宅手当などは含めて計算します。

1箇⽉当たりの平均所定労働時間は、基本的には、
(365-年間所定休⽇数)×1⽇の所定労働時間/12
とする場合が多いかと思います。

※例えば、年間の所定休日数が125日である場合、月給が250,000円である場合、1日の所定労働時間が8時間である場合、とすると
250,000円/<(365-125)×8/12>=1,562.5円 となります。
なお、このように1円未満の端数が発生した場合には、労働者に有利になるよう、同端数切り上げで計算されることをお勧めします。そして、それを賃金規則に明記することが必要となります。

【歩合給(出来高給)について】
タクシー会社などのように、歩合給制がある場合には、もし時間外労働等をしたのであれば、歩合給に対しても割増賃⾦を⽀払う必要があります。その際の算出方法は一般的には、下記の通りとなります。
・歩合給/総労働時間(もちろん、時間外労働等の時間も含みます)=歩合給の1時間当たり単価
          ↓
1時間当たり単価×残業時間×0.25(0.35) 
で計算します。

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