令和2年度年金額等について


令和2年2月2日更新

過去の年金額や改定率などの推移を一覧にした表(Excel)を作成していますので、それをご参考にしていただければ幸いです。要所に注釈を挿入するなどできるだけ分かり易く作成したつもりですが、理解し辛い部分がありましたら、ご容赦下さい。なお、説明不足等が判明次第、更新させていただきます。

令和2年度の改定率は令和1年度(0.999)からは+0.2%の引き上げとなり、1.001となりました。法本来の年金支給額が780,900円(満額の場合)ですので、令和2年度の実際の年金支給額は780,900円×1.001≒781,700円(同)となり、月額は781,700÷12≒65,141円(同)となります。
 当該月額当りの額に関しては、老齢基礎年金の満額の場合(令和2年度で781,700円)で見ると、月当りでは781,700/12≒65,141円(円未満切捨て)となり、支払期月(偶数月)ごとの支給額は、65,141×2=130,282円となりますが、切り捨てた端数部分の合計額、つまり、781,700-781,692(=130,282×6)=8円については、翌年2月の支払期月において、当該端数調整(加算)されることになっています。すなわち、2月の支払期月における支給額は130,282+8=130,290円となります。これは、平成27年10月1日に施行された「被用者年金一元化法」に基づくものです。

<年金額の改定ルールの基本的な仕組みについて>(46_2.pdf へのリンク)
・新規裁定者(68歳到達年度前の受給権者の場合)
前年度改定率×名目手取り賃金変動率×マクロ経済スライド調整率
➣65歳に到達し、年金の新規裁定を行う際には、直近の賃金動向を反映させるために、賃金の変動による改定を行うことになります。
・既裁定者(68歳到達年度以後の受給権者の場合
前年度改定率×物価変動率×マクロ経済スライド調整率
※ 物価変動率の推移については、総務省から公表されている「2015年基準 消費者物価指数」(報道資料)にある第3-1表 総合(生鮮食品を含む)・前年同月比の推移表(全国)(46_5.pdf へのリンク)をご参照下さい。

ただし、既裁定者の改定率(物価変動率)が新規裁定者の改定率(名目手取り賃金変動率)より大きくなると、給付(年金受給者への給付)と負担(現役世代の負担)の長期的な均衡が保てなくなるため、この場合には、下記のような形で改定率が定められることになります。
物価>賃金≧1
(令和1年度の場合)➣物価変動率1.0%増(1.01)・名目手取り賃金変動率0.6%増(1.006)の場合が該当します。この場合には、改定率は名目手取り賃金変動率である0.6%増(1.006)を採用することになります
➣令和1年度の実例(平成30年度の改定率0.998×1.006×0.997×0.998≒0.999)
 ×0.997×0.998(マクロ経済スライド調整率)については、下記<キャリーオーバー制度>をご参照下さい。
(令和2年度の場合)➣物価変動率0.5%増(1.005)・名目手取り賃金変動率0.3%増(1.003)の場合が該当します。この場合には、改定率は名目手取り賃金変動率である0.3%増(1.003)を採用することになります
➣令和2年度の実例(令和1年度の改定率0.999×1.003×0.999≒1.001)
 ×0.999(マクロ経済スライド調整率)については、下記<マクロ経済スライド>をご参照下さい。
物価>1>賃金➣物価変動率0.5%増(1.005)・名目手取り賃金変動率▲0.4%(0.996)の場合が該当します。この場合には、改定率は1.000(いずれの率も採用せず、いわゆるゼロスライド、つまり前年度からの据置になるわけです)➣平成30年度の実例(平成29年度の改定率0.998×1.000=0.998)
1≧物価>賃金➣物価変動率▲0.1%(0.999)・名目手取り賃金変動率▲1.1%(0.989)の場合が該当します。この場合には、改定率は物価変動率である▲0.1%(0.999)を採用することになります➣平成29年度の実例(平成28年度の改定率0.999×0.999≒0.998)
しかし、逆の場合、つまり、既裁定者の改定率(物価変動率)が新規裁定者の改定率(名目手取り賃金変動率)より小さくなる場合には、基本的な仕組み通りの適用になり、いずれの率も、その上下した率に応じて、単純に、改定率がそれぞれ改定されることになります。

以上が令和2年度までの「年金額の改定のルール」(46_3.pdf へのリンク)になります。

<令和3年度以後の「年金額の改定ルール」について>(46_4.pdf へのリンク)
「公的年度制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」に基づき、支え手である現役世代(保険料を負担している世代)の負担能力に応じた給付とする観点から、
物価変動率>名目手取り賃金変動率の場合でも、
その賃金変動に合わせて改定する考え方が徹底されることになります。
つまり、
①の場合➣
(令和1年度の場合で見ると)
物価変動率1.0%増(1.01)・名目手取り賃金変動率0.6%増(1.006)の場合では、改定率は名目手取り賃金変動率である0.6%増(1.006)を採用することになり、上記①と同じ結果になります。
(令和2年度の場合で見ると)
物価変動率0.5%増(1.005)・名目手取り賃金変動率0.3%増(1.003)の場合では、改定率は名目手取り賃金変動率である0.3%増(1.003)を採用することになり、上記①と同じ結果になります。
②の場合➣物価変動率0.5%増(1.005)・名目手取り賃金変動率▲0.4%(0.996)の場合では、物価変動率は増加しているものの、名目手取り賃金変動率▲0.4%に合わせて、改定率は名目手取り賃金変動率である▲0.4%(0.996)を採用することになります。つまり、既裁定者には厳しい改定になります。
③の場合➣物価変動率▲0.1%(0.999)・名目手取り賃金変動率▲1.1%(0.989)の場合では、いずれも▲ですが、この場合にも、名目手取り賃金変動率▲1.1%に合わせて、改定率は名目手取り賃金変動率である▲1.1%(0.989)を採用することになります。つまり、既裁定者には厳しい改定になります。
しかし、逆の場合、つまり、名目手取り賃金変動率>物価変動率の場合にはやはり、基本的な仕組み通りの適用になり、いずれの率も、その上下した率に応じて、単純に、改定率がそれぞれ改定されることになります。

<マクロ経済スライド>
これは、賃金や物価の変動だけでなく、「公的年金被保険者数の変動率(被保険者数の減少、端的に言えば、少子化)」と「平均余命の伸び率(端的に言えば、高齢化)」という年金財政にとってはマイナス要因となるものを年金額に反映させようとするもので、この手法は調整率(=被保険者数の減少率×平均余命の伸び率)を使用して行われ、ただし、この率による調整は賃金(又は物価)が上昇したときだけに行われます。従って、平成30年度については、プラス改定ではなく据置となりましたので、当該調整は実施されませんでした。
しかし、令和1年度については、物価変動率が1.0%増(1.01)、名目手取り賃金変動率が0.6%増(1.006)と、ともに上昇した結果となりました。同じく、令和2年度につても、物価変動率が0.5%増(1.005)、名目手取り賃金変動率が0.3%増(1.003)と、ともに上昇した結果となりました。このように、物価変動率>名目手取り賃金変動率≧1となった場合は、賃金変動率(0.6%)(0.3%)を適用することが法定されており、さらに、そこからマクロ経済スライド調整率をもって調整されることになるわけです。

<マクロ経済スライド調整率>
平成30年度の「マクロ経済スライドによるスライド調整率」= 公的年金被保険者数の変動率(0.0%)× 平均余命の伸び率(定率)(▲0.3%)=1×0.997=0.997(▲0.3%)となりました。
令和1年度の「マクロ経済スライドによるスライド調整率」= 公的年金被保険者数の変動率(0.1%)× 平均余命の伸び率(定率)(▲0.3%)=1.001×0.997=0.998(▲0.2%)となりました。
令和2年度の「マクロ経済スライドによるスライド調整率」= 公的年金被保険者数の変動率(0.2%)× 平均余命の伸び率(定率)(▲0.3%)=1.002×0.997=0.999(▲0.1%)となります。

<キャリーオーバー制度>
そして、平成28 年に成立した「年金改革法」により、平成30年度において、調整が実施されなかった調整率(▲0.3%)については、「未調整率」として次年度以降に繰り越され、次年度以降で賃金(又は物価)の大幅な上昇があった年度(つまり、令和1年度)においては調整が実施されました。正に、令和1年度はそれを実施する環境が整ったことになります。当該制度の施行は平成30年4月からで、従って「マクロ経済スライド」の未調整分の累積は先ずは▲0.3%となっており、そして、さらに、令和1年度の調整率(▲0.2%)を加えることで、合計▲0.5%の調整が実施されたわけです。

< 結果としての改定率>
令和1年度において適用された「名目手取り賃金変動率(=0.6%)」-0.5%=0.1%増
➣ 令和1年度の改定率=平成30年度の改定率0.998×1.001(0.1%増)=0.998998≒0.999(0.01%単位を四捨五入して0.1%単位で計算することになっている)
令和2年度において適用される「名目手取り賃金変動率(=0.3%)」-0.1%=0.2%増
➣ 令和2年度の改定率=令和1年度の改定率0.999×1.002(0.2%増)=1.000998≒1.001(同上)

※上記年金額の改定ルールの見直しについては、『「公的年度制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」について』の中において解説箇所があります。ご参照下さい。

※令和1年度の年金額改定のお知らせ(厚生労働省発表)(46_1.pdf へのリンク)
※令和2年度の年金額改定のお知らせ(厚生労働省発表)(46_6.pdf へのリンク)

<国民年金保険料について>
●平成30年度の国民年金保険料
平成16年改正により、平成17年度(基準額13,580円(月額))から毎年280円(平成29年度は240円)ずつ引き上げられ、平成29年度において上限(基準額16,900円(月額))に達し引き上げは完了し固定されています。
従って、平成30年度の国民年金保険料額→基準額16,900円(月額)
ただ、実際には当該基準額に「保険料改定率」を乗じることで、毎年度変動することになります。
平成30年度の実際の国民年金保険料額→16,900円×保険料改定率0.967≒16,340円

●令和1年度の国民年金保険料
同「年金改革法」により、次世代育成支援のため、平成31 年4月から国民年金第1号被保険者(自営業や自由業の方など)に対しても産前産後期間の保険料免除制度が施行されることに伴い、令和1年度分より、基準額16,900円(月額)に100 円(月額)が上乗せされることになっています。
従って、令和1年度の国民年金保険料額→基準額計17,000円(月額)
令和1年度の実際の国民年金保険料額→17,000円×保険料改定率0.965≒16,410円

●令和2年度の国民年金保険料
令和1年度と同様に、令和2年度の国民年金保険料額→基準額計17,000円(月額)
令和2年度の実際の国民年金保険料額→17,000円×保険料改定率0.973≒16,540円

●令和3年度の国民年金保険料
令和1年度・令和2年度と同様に、令和3年度の国民年金保険料額→基準額計17,000円(月額)
令和3年度の実際の国民年金保険料額→17,000円×保険料改定率0.977≒16,610円

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