雇用保険法の特例措置について


令和2年9月25日更新

令和2年5月27日に閣議決定された2020年度第2次補正予算案が第201回通常国会において可決成立(令和2年6月12日)となりましたので、下記事項が実施されることになりました。法律の名称は「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」です。

 <標記法律上の規定ではありませんが、既に運用されているとされる措置について(その1)>(covid19_101.pdf へのリンク)

●新型コロナウィルス感染症に伴い、雇用保険の「失業等給付」の中の「求職者給付」のうち「基本手当」の特例で、新型コロナウィルス感染症の影響による自己都合での離職については、正当な理由のある自己都合離職として「給付制限*1を課さない措置が講じられています。

*1 
自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇、又は正当な理由のない⾃⼰都合退職の場合には、待期期間(通算7日間)満了後1箇月以上3箇月以内(基本的には、3箇月以内)の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当が支給されなくなります。

令和2年2月25日以後に、下記の理由により離職した場合に、「特定理由離職者」(人事労務トピックス一覧表にある「雇用保険 特定受給資格者及び特定理由離職者に係る件について」においてご参照下さい)として扱われることで、「給付制限」が課されないというものです。① 同居の家族が新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより看護または介護が必要となったことから自己都合離職した場合
② 本人の職場で感染者が発生したこと、又は本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有すること*2、妊娠中であること、もしくは高齢であることを理由に、感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合離職した場合
③ 新型コロナウイルス感染症の影響で子の養育が必要となったことから自己都合離職した場合

 <標記法律上の規定ではありませんが、既に運用されているとされる措置について(その2)>(covid19_102.pdf へのリンク)

新型コロナウィルス感染症に伴い、雇用保険の「失業等給付」の中の「求職者給付」」のうち「基本手当」の特例として、雇用保険の受給期間(基本手当を受給できる期間のことで、原則として、離職の日の翌日から1年)の延長が可能となっています。従来から、疾病、出産、育児等の理由により30日以上職業に就くことができない日がある場合には、受給期間の延長が認められていますが、さらに、その取扱いの一環として、以下の理由の場合も受給期間を延長することができるとのことです。
・新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からハローワークへの来所を控える場合
・新型コロナウイルスに感染している疑いのある症状(風邪の症状や発熱がある場合、強い倦怠感や息苦しさがある場合など)がある場合
・新型コロナウイルス感染症の影響で子(小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などに通学、通園する者に限る)の養育が必要となった場合

 <標記法律上の規定について>

●新型コロナウイルス感染症の感染予防を理由としてやむを得ず離職した者について、「特定受給資格者」(人事労務トピックス一覧表にある「雇用保険 特定受給資格者及び特定理由離職者に係る件について」においてご参照下さい)として規定されることになります。当該規定の適用対象は令和2年5月1日以後に離職した者とされています。

特定受給資格者の要件を定める雇用保険法第23条第2項第2号の「厚生労働省令(雇用保険法施行規則第36条)で定める理由」のひとつとして、本人又は同居の親族が新型コロナウイルス感染症に感染した場合に重症化するおそれのある疾患(基礎疾患)を有すること*2その他の職業安定局長が定める理由*3暫定措置として規定するというものです。

*2 いずれも同じ内容となっており、前者の位置付けが「特定理由離職者」であるのに対し、後者のそれが「特定受給資格者」であることから、整合性が取れないところですが、少なくとも、今般の暫定措置においては「特定受給資格者」として捉えることになるものと考えられます。

*3 その他の職業安定局長が定める理由の内容については、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」(covid19_103.pdf へのリンク)には詳細が記載されていませんが、上記②のうち*2を除き、①から③までの内容を意味するものと考えられます。

 ●新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により休業を強いられた労働者のうち、休業中に賃金を受けることができなかった者(つまり、事業主から休業手当が支給されなかった者)に対して、雇用保険法に基づく「雇用安定事業」として、当該労働者の失業の予防を図るための必要な事業(「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」を支給する事業)当該事業に準ずるものとして、雇用保険の被保険者でない者を対象に特別の「新型コロナウィルス感染症対応休業給付金」を支給することができる措置が講じられています。


(主な留意点)

・新規学卒者等を除き、支援金・給付金の対象期間(令和2年4月1日から9月30日まで)に起業した事業主の事業所(拠点等)において雇用される者の休業については、起業した日から当該日の属する月の翌月末(起業した日が各月1日の場合は当該日の属する月末)までの間の休業でないことが求められています。また、支援金・給付金の対象期間に新たに雇い入れられた者の休業についても、雇入れ日から当該日の属する月の翌月末(雇入れの日が各月1日の場合は当該日の属する月末)までの間の休業でないことが求められています。従って、これらの者については、例えば、令和2年4月10日付での起業や雇入れの場合には、同年5月31日までの休業については、支援金・給付金の対象にはならないことになるわけです。
 なお、当該対象期間については、厚生労働省によるプレスリリース(令和2年8月28日)によれば、それが12月末まで延長される模様です。➣令和2年12月31日までの間となりました。

1月当り支給額休業開始前賃金日額(当該額が11,000円を超える場合は、11,000円)(原則として、休業前6箇月分の賃金から任意の3箇月分の賃金の合計額を90日で除して算定することになります。なお、新規学卒者等は、労働条件通知書等にて通知されている1箇月分の金額を記入することになるとのことです。また、疾病・出産・育児等の事情による休業のため、休業前6箇月分の賃金が全くない場合には、さらに2年まで遡及して、休業開始月の直近月からの3箇月分の賃金とする旨の取扱いをするとのことです)×80%×支給単位期間*5に係る暦日数を乗じて得た額(端数処理については、小数点以下を切り捨てとし、支給額は支給単位期間ごと算定する)。ただし、支給単位期間において、「就業等した日」については、当該暦日数から控除することになりますので、ご注意下さい。「就業等した日」とは、休業事業所で就労した日、有給休暇・育児休業・介護休業・病気による欠勤など自身の事情により休暇や休業を取得した場合を指します。従って、所定の休日(土日祝)は「就労等した日」に含まれません。

月額上限➣330,000円(=15,000円*4×22) ➣厚生労働省のホームページにおいて公開されていた当初のリーフレットなどによれば、月額上限は、330,000円と表示されていましたが、今般、新たに公開されたリーフレットなどによれば、休業開始前の6箇月のうち任意の3箇月分の賃金(月ごとの給与の総支給額(基本給と諸手当の合計。ただし、賞与を除く))の額から休業開始前賃金日額を算定し、これに給付率0.8を乗じて得た支援金・給付金日額に支給単位期間に係る暦日数を乗じて得た額を支給額とするとの内容になっており、例えば、暦日数が31日の場合には、11,000円×31日=341,000円となり、当初の月額上限330,000円を上回ることになるものと考えます。

*4 雇用調整助成金の1人1日当たりの上限15,000円(従前までは8,330円)と同額になります。

*5 原則として各月の初日から末日までを、月の途中から休業が開始した場合は当該休業開始日から、月の途中で休業が終了した場合は当該休業終了日までを1支給単位期間とするものです。そして、当該1支給単位期間ごとに申請が可能ですが、複数月をまとめて申請することも可能とのことです。例えば、令和2年4月分から6月分までの休業期間であれば、支援金・給付金の支給申請期限は同年9月30日までとし、同年7月分からの支給単位期間の同申請期限は、当該支給単位期間ごとに当該支給単位期間の末日の属する月の翌月1日から、当該日から起算して2箇月経過後の日の属する月の末日(例えば、令和2年7月分の申請であれば、翌月1日である同年8月1日から起算して2箇月経過後の日である同年10月1日の属する月の末日である同年10月31日になります)となります。ただし、コールセンター(0120-221-276)の応対者から聴取した限りでは、同年4月分から7月分までを、同年4月分から8月分までをまとめて申請する場合は、いずれも同申請期限は同年9月30日までになるとのことです。というのは、いずれの期間も、同申請期限が同年9月30日となる同年4月分から6月分までの期間が含まれているからとのことです。注意が必要です。なお、同年4月分から9月分までをまとめて申請する場合でも、上記に従えば、同申請期限は同年9月30日になるとのことですが、それは現実的ではなく、その場合には、同年9月分だけを別途申請し、同年12月31日を同申請期限とすべきかもしれません。適宜、ご対応いただきたいと思います。
➣なお、申請期限については、令和2年9月25日に、厚生労働省ホームページにおいて公表された下記リーフレットによれば、令和2年4月から9月分までは令和2年12月31日までとされました。また、令和2年10月から12月分までは令和3年3月31日までとされました。ご参照下さい。



  ●新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響に対応するため、基本手当の所定給付日数を延長する雇用保険法の特例措置が講じられています。
雇用保険の受給資格者のうち、下記①から③までの受給資格に係る離職の日の区分に応じて定めている者については、公共職業安定所長が、その地域(*6 都道府県単位になるものと考えられます)における雇用機会の状況及び新型コロナウイルス感染症についての新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施状況その他の事情を勘案し、雇用保険法第24条の2第1項に規定する指導基準に照らして再就職を促進するために必要な職業指導を行うことが適当であると認めた場合においては、失業していることについての認定を受けた日につき、所定給付日数を超えて基本手当を受給することができるようになります。

*6 緊急事態宣言が発せられた地域区分及びその日、緊急事態宣言の解除が発せられた地域区分及びその日

(緊急事態宣言が発せられた地域区分及びその日)

・東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県及び福岡県の7都府県➣令和2年4月7日
・残り40都道府県➣令和2年4月16日(なお、47都道府県のうち東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県、北海道、茨城県、石川県、愛知県、岐阜県及び京都府の13都道府県が「特定警戒都道府県」として指定されていました)

(緊急事態宣言の解除が発せられた地域区分及びその日)

・下記の計8都道府県を除く39県➣令和2年5月14日
・京都府、大阪府及び兵庫県の3府県➣令和2年5月21日
・北海道、東京都、千葉県、神奈川県及び埼玉県の5道府県➣令和2年5月25日

 ① 新型コロナウイルス感染症について新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間が開始した日(令和2年4月7日or同年4月16日)以前の日(つまり、新型コロナウイルス感染症について新型インフルエンザ等緊急事態宣言がされた日以前の日である場合)

就職が困難な受給資格者(身体・知的・精神障害者など)以外の受給資格者

② 実施すべき期間中の日(つまり、新型コロナウイルス感染症について新型インフルエンザ等緊急事態宣言がされた日後、当該宣言が解除された日以前である場合)

就職が困難な受給資格者以外の受給資格者のうち、「特定理由離職者」又は「特定受給資格者」

③ 新型コロナウイルス感染症について新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言により実施期間が終了した日(令和2年5月14日or同年5月21日or同年5月25日)後の日(つまり、新型コロナウイルス感染症について新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言がされた日後である場合)➣つまり、全国的には、令和2年5月26日以後については、下記の者であれば、新型コロナウィルス感染症の影響により離職した場合には、基本手当の所定給付日数を延長する雇用保険法の特例措置が講じられることになるとされています。

就職が困難な受給資格者以外の受給資格者のうち、「特定理由離職者(正当な理由のある自己都合離職者を除く)」又は「特定受給資格者であって、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により離職を余儀なくされた者」


 

(所定給付日数を超えて基本手当を支給する日数)

60日(35歳以上45歳未満の算定基礎期間が20年以上の「特定受給資格者(所定給付日数が270日の者)」又は45歳以上60歳未満の算定基礎期間が20年以上の「特定受給資格者(所定給付日数が330日の者)」は30日)*7が限度➣これを「特例延長給付」といい、「特例延長給付」を受給している受給資格者は「個別延長給付」(人事労務トピックス一覧表にある「雇用保険 特定受給資格者及び特定理由離職者に係る件について」においてご参照下さい)を受給している受給資格者とみなされます。なお、「特定受給資格者」に係る所定給付日数については、受給資格に係る離職の日が平成21年3月31日から令和4年3月31日までの間にある「特定理由離職者(正当な理由のある自己都合離職者は除きます)」については同じになります。

*7 「特例延長給付」を受給する受給資格者の受給期間(基本手当を受給できる期間のことで、原則として、離職の日の翌日から1年)1年+60日(30日)となります。つまり、当該受給期間内の失業していることの認定を受けた日について、所定給付日数+60日(30日)を限度として受給できるわけです。

 <新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案の概要>



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