年金給付の経過措置について


令和2年4月1日更新

※年金給付の経過措置一覧(平成30年度)(4_1.pdf へのリンク)
年金給付の経過措置一覧(令和1年度)(4_13.pdf へのリンク)
年金給付の経過措置一覧(令和2年度)(4_17.pdf へのリンク)

1.  加給年金額(主な要件等について)

老齢厚生年金の受給権者が扶養している一定の配偶者(原則、65歳未満)又は子(18歳年度末までの間にある子、及び20歳未満で障害等級1級又は2級に該当する障害状態にある子)がいる場合に加算されるものです。つまり、これらの被扶養者は、老齢厚生年金の受給権者がその受給権を取得した当時*1、その受給権者によって生計を維持していた者でなければならないということです。また、その受給権者は、老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が原則として240以上*2であることが必要です。

*1 このように、「受給権を取得した当時」での生計維持が要求されるのはこの加給年金額の場合であり、同じように、「被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時」で要求されるのは子のある配偶者又は子を遺族の要件とする「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「夫の死亡の当時」で要求される「寡婦年金」、生計維持までは要求されないものの、「死亡した者の死亡の当時」に生計を同じくしていたことが要求される「死亡一時金」といったものが挙げられます。一方、子の加算に係る「障害基礎年金」配偶者だけを対象とする「障害厚生年金の加給年金額」は「受給権を取得した当時」での生計維持だけでなく、「受給権を取得した後」に生計を維持することになった場合でもよく、生計維持要件が緩和されています。
*2 この「原則240以上」には例外があり、それを「中高齢者の資格期間の短縮の特例」と言います。
下記の生年月日に応じて、40歳(女性・坑内員・船員は35歳)以降の厚生年金保険(第1号厚生年金保険被保険者期間のみで、共済組合等に加⼊していた期間は含みません)の被保険者期間が15年(180箇月)から19年(228箇月)以上あれば、240以上満たしたことにみなすというものです。
・昭和22年4月1日以前 15年以上
・昭和22年4月2日から昭和23年4月1日 16年以上
・昭和23年4月2日から昭和24年4月1日 17年以上
・昭和24年4月2日から昭和25年4月1日 18年以上
・昭和25年4月2日から昭和26年4月1日 19年以上

(加給年金額が加算される老齢厚生年金)
①特別支給(60歳代前半)の老齢厚生年金のうち「定額部分(65歳からの老齢基礎年金に相当する部分)*3」が支給されるもの→下記図表をご参照下さい
②65歳から支給される原則支給の老齢厚生年金

*3 特別支給(60歳代前半)の老齢厚生年金の支給開始年齢は生年月日に応じて段階的に引き上げられています。



・昭和16年4月1日以前生まれの者は報酬比例部分とともに60歳から定額部分が支給されています。
・昭和16年4月2日から昭和18年4月1日生まれの者は60歳から報酬比例部分が、61歳から定額部分が支給さ れています。
・昭和18年4月2日から昭和20年4月1日生まれの者は60歳から報酬比例部分が、62歳から定額部分が支給されています。
・昭和20年4月2日から昭和22年4月1日生まれの者は60歳から報酬比例部分が、63歳から定額部分が支給されています。
・昭和22年4月2日から昭和24年4月1日生まれの者は60歳から報酬比例部分が、64歳から定額部分が支給されています。

という具合に、支給開始年齢が段階的に引き上げられていく「定額部分」に合わせて、加給年金額も加算されることになります。なお、上記生年月日は厚生年金保険被保険者の男子及び第2号から第4号厚生年金保険被保険者の女子の場合が対象であり、第1号厚生年金保険被保険者の女性はそれぞれに5年加算したものになります。また、配偶者に係る加給年金額には、昭和9年4月2日以後生まれの老齢厚生年金の受給権者にのみ加算される「特別加算」という加算制度(子に係る加給年金額にはない)もあります。
そして、原則として、この加給年金額の対象者である配偶者が65歳になった時点で、下記2.の「振替加算」が今度は当該配偶者に加算されるという仕組みです。

上記しました、「定額部分」に合わせて加給年金額が加算されるという仕組みに関しては、さらに補充しておきたい部分があります。上記図表もご参照の上、ご確認下さい。それは、

・昭和16年4月2日以後生まれの者(厚生年金保険被保険者の男子及び第2号から第4号厚生年金保険被保険者の女子の場合)(第1号厚生年金保険被保険者の女子の場合は昭和21年4月2日以後生まれの者)には、段階的に「定額部分」の支給開始年齢が引き上げられています(ただし、厚生年金保険被保険者の男子及び第2号から第4号厚生年金保険被保険者の女子の場合で昭和24年4月2日から昭和36年4月1日までの生まれの者、第1号厚生年金保険被保険者の女子の場合で昭和29年4月2日から昭和41年4月1日までの生まれの者については、そもそも「定額部分」の支給の対象にはなっていません)が、障害者(障害等級3級以上の障害の状態にある者) 又は 長期加入者(厚生年金保険の1つの種別期間*4のみで44年以上の者)でいずれも厚生年金保険の被保険者でない(退職している)者は、「障害者の特例」の場合は当該受給権者が障害の状態にある時(つまり、障害基礎(厚生)年金の受給権者でなくてもいいわけです)に当該特例の請求ができ、「長期加入者の特例」の場合は当該受給権を取得した当時、その者の被保険者期間が44年以上ある時に当該特例が適用されます。従って、一定の期間のみ「定額部分」の支給の対象になっていなくても全く「定額部分」の支給の対象になっていなくても、当該の者に「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)」が支給される場合には、原則としてその支給開始年齢に合わせて「定額部分」も支給されるという制度です。例えは、昭和27年3月1日生まれの者(男性)の場合には、60歳からの報酬比例部分のみが支給されますが、上記要件に該当すれば、60歳からの報酬比例部分の支給開始に合わせて「定額部分」も支給されるというものです。なお、「障害者の特例」の場合は、原則(なお、請求があったとみなす規定があります。それは、平成26年4月1日施行の「年金機能強化法」により、障害基礎(厚生)年金を受けることができる者については、原則として障害状態にあると判断される時に遡及して支給されることになっています)として請求が必要であり、請求のあった月の翌月からの支給となります。
このように、特例による「定額部分」の支給があれば、それに合わせて「加給年金額」が加算される場合があるということになります。
なお、下線部分につき、特記しておきます。例えば、仮に、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢以降に被保険者期間が44年以上になった場合は、その時点で「長期加入者の特例」が適用されるというものです。

※昭和27年3月1日生まれの者(男性)の場合の事例参考図はこちら(長期加入者の特例の事例①)(4_3.pdf へのリンク)から

※昭和27年3月1日生まれの者(女性)の場合の事例参考図はこちら(長期加入者の特例の事例②)(4_4.pdf へのリンク)から

*4 「被用者年金一元化法」の施行(平成27年10月1日)に伴い、公務員等が加入していた「共済年金」は厚生年金保険に統合されましたが、その際、厚生年金保険の被保険者につき、次の通り、4つの種別に区分されています。
第1号厚生年金保険被保険者 従前の厚生年金保険の被保険者
第2号厚生年金保険被保険者 国家公務員共済組合の組合員である厚生年金保険の被保険者
第3号厚生年金保険被保険者 地方公務員共済組合の組合員である厚生年金保険の被保険者
第4号厚生年金保険被保険者 私立学校教職員共済制度の加入者である厚生年金保険の被保険者
つまり、第1号及び第4号の場合は、その種別のみで44年以上なければならないということです。ただし、第2号・第3号の場合は、「公務員厚年」として各々の種別期間は通算されるとのことです。

この「加給年金額」は、「特別加算」の額は別にして、一律となっています。

・配偶者→法本来の「加給年金額」224,700円×平成29(30)年度の改定率0.998(令和1年度の改定率0.999)(令和2年度の改定率1.001)≒224,300(224,500)(224,900)
・第1子・第2子→法本来の「加給年金額」224,700円×平成29(30)年度の改定率0.998(令和1年度の改定率0.999)(令和2年度の改定率1.001)≒224,300(224,500)(224,900)
・第3子以降→法本来の「加給年金額」74,900円×平成29(30)年度の改定率0.998(令和1年度の改定率0.999)(令和2年度の改定率1.001)≒74,800円(75,000円)

2. 配偶者の振替加算(主な要件等について)

・新国民年金法(以下「新法」という)の施行日である昭和61年4月1日以後、原則として、国民年金には何人も強制加入しなければなりません。しかし、サラリーマンの妻(つまり新法でいう第3号被保険者)は、旧法(昭和61年3月31日以前)では、国民年金に任意加入とされていたことから、新法施行前に既に20歳に達していた者(昭和41年4月1日以前生まれの者は昭和61年3月31日以前に既に20歳に達しているから)は新法の第3号被保険者としての被保険者期間が40年に満たない(つまり、満額の老齢基礎年金を受給することができない)ことから、この者を対象として振替加算を行うことにしています。
例えば、昭和41年4月2日以後生まれの者は昭和61年4月1日以後に20歳に達しますので、新法の施行日である昭和61年4月1日からは新法の第3号被保険者になることができるため、第3号被保険者としての被保険者期間のみで保険料納付済期間40年(つまり、満額の老齢基礎年金を受給することができる)を満たすことが可能となります。しかし、昭和61年3月31日以前に既に20歳に達していた者は一般的には、老齢基礎年金の額が低額になってしまうおそれが極めて高いことから、そのような者に「振替加算」という加算制度を設けているわけです。
・1.加給年金額のところでも記載しましたように、原則として、配偶者(一般的には妻)に係る加給年金額の対象者である配偶者(一般的には妻)が65歳になった時点で、つまり、老齢基礎年金の受給権を取得した時点で「振替加算」が当該配偶者(一般的には妻)に加算されます。
・また、当該配偶者(一般的には妻)が65歳に達した日(65歳の誕生日の前日)において、加給年金額を受給している老齢厚生年金の受給権者(一般的には夫)(その額の計算の基礎となる月数が原則として240以上)又は障害厚生年金の受給権者(一般的には夫)(障害等級1級又は2級の受給権者に限る)によって生計を維持していなければなりません。

この「振替加算」の額は、その対象者の生年月日のみに応じて一定の額が定められています。

・例えば、大正15年4月2日から昭和2年4月1日生まれの者→法本来の「振替加算」の額224,700円×平成29(30)年度の改定率0.998(令和1年度の改定率0.999)(令和2年度の改定率1.001)×生年月日に応じた一定の率1.00≒224,300(224,500)(224,900)
・例えば、昭和36年4月2日から昭和41年4月1日生まれの者→法本来の「振替加算」の額224,700円×平成29(30)年度の改定率0.998(令和1年度の改定率0.999)(令和2年度の改定率1.001)×生年月日に応じた一定の率0.067≒15,028(15,042)(15,068)
という具合に、若い世代ほど低い額になっています。

※振替加算額算出一覧表(平成30年度)(4_5.pdf へのリンク)
振替加算額算出一覧表(令和1年度)(4_10.pdf へのリンク)
振替加算額算出一覧表(令和2年度)(4_14.pdf へのリンク)
※経過的寡婦加算額*5算出一覧表(平成30年度)(4_6.pdf へのリンク)
※経過的寡婦加算額*5算出一覧表(令和1年度)(4_12.pdf へのリンク)
※経過的寡婦加算額*5算出一覧表(令和2年度)(4_15.pdf へのリンク)
*5 経過的寡婦加算額については、人事労務トピックスにある「遺族基礎・厚生年金の「遺族の要件」や「年金額」等について」の「経過的寡婦加算」をご参照下さい。

なお、人事労務トピックスにある「年金受給資格期間短縮に伴う変更点等について」7.振替加算についてにおいて、「振替加算」に係る留意点につき解説していますので、そちらもご参照下さい。

また、まだ記憶に新しいこととして、日本年金機構における「振替加算」に係る600億円もの支給漏れが判明した旨の公表がありました。
※「振替加算の総点検とその対応について」(4_8.pdf へのリンク)と題する文書が公開されています。ご参照下さい。


【参考までに・・・】

平成27年10月1日に施行された「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号) 」により 、年金額等の端数処理がそれまでの100円未満四捨五入から、1円未満四捨五入に改められました。これは、個々に関わる年金額等に関しては、1円単位まで算出することになったものです。ただし、従来通り、100円未満四捨五入にする年金額等は依然存在しています。これは、基本となる年金額(老齢基礎年金の満額)や定額のもの(例えば、障害基礎年金2級の額や加給年金額など)に関しては、100円単位にすることになったものです。それら2種類について、参考までに、別紙にて掲載しておきます。ご確認下さい。

また、この端数処理に関連して、同じく、同法の施行により、
例えば、老齢基礎年金の満額の場合(平成30年度で779,300円)で見ると、月当りでは779,300/12≒64,941円(円未満切捨て)となり、支払期月(偶数月)ごとの支給額は、64,941×2=129,882円となりますが、切り捨てた端数部分の合計額、つまり、779,300-779,292(=129,882×6)=8円については、翌年2月の支払期月において、当該端数調整(加算)されることになっています。すなわち、2月の支払期月における支給額は129,882+8=129,890円となります。

※年金額の端数処理(平成30年度)(4_7.pdf へのリンク)
※年金額の端数処理(令和1年度)(4_9.pdf へのリンク)
年金額の端数処理(令和2年度)(4_16.pdf へのリンク)

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