「公的年度制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」について


※公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律の概要
(6_1.pdf へのリンク)
この概要の中には5つの施行項目がありますが、皆様にとって比較的身近な3項目について解説致します。

1  短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進(平成29年4月施行)(6_2.pdf へのリンク)

501人以上の企業等(国は規模の大小を問わず適用)への適用拡大については、既に先行して平成28年10月1日から実施済。なお、短時間労働者とは、下記①から④の条件をすべて満たす者をいう。
①週の所定労働時間が20時間以上②月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)③勤務期間1年以上見込み④学生でないこと⑤被保険者である従業員 501人以上の企業等(地方公共団体も含む)
平成29年4月1日からは、上記①~④の条件の下、500人以下の企業等についても、民間企業は労使合意に基づき適用拡大を可能に、国・地方公共団体は(強制)適用とするもの。
さらに、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するために正社員化、人材育成、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度として「キャリアアップ助成金」(6_3.pdf へのリンク)があります。ご案内致します。

2  国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除(平成31年4月施行)(6_4.pdf へのリンク)

厚生年金保険の中には既に、「産前産後休業期間中及び育児休業等期間中の保険料免除制度」が存在します。ただ、国民年金にはそのような制度がなく、保険料免除制度としては、法律上当然免除されるものと、所得の状況等によっては、保険料の納付が困難となる場合があることから、一律な免除ではなく申請によって免除するものがあります。本件は次世代育成支援を踏まえての保険料免除制度(当該制度に関しては、免除期間については満額の基礎年金を保障するというもの)となっています。
なお、免除期間は出産予定⽇⼜は出産⽇が属する⽉の前⽉から4箇⽉間(多胎妊娠の場合は、出産予定⽇⼜は出産⽇が属する⽉の3箇⽉前から6箇⽉間)国⺠年⾦保険料が免除されるというもので、対象者は出産⽇が平成31年2⽉1⽇以後の者となります。例えば、多胎でない場合で、出産日が平成31年2月1日であれば、その前月である平成31年1月から4月までの4箇月間となりますが、施行が平成31年4月からということで、免除されるのは4月分のみとなります。従って、1月に出産した場合は免除されないことになります。
※日本年金機構ホームページにおいて、当該制度に関するQ&A(6_6.pdf へのリンク)が公開されていますので、ご参照下さい。
※厚生労働省・日本年金機構によるリーフレット「産前産後期間の国民年金保険料が免除となります!」(6_7.pdf へのリンク)が公開されています。

3 年金額の改定ルールの見直し((1)は平成30年4月、(2)は令和3年4月施行)

(1) マクロ経済スライドについて、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持(つまり、現在の高齢世代に配慮をするということ)しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で 前年度までの未調整分を含めて調整。

その前に、「マクロ経済スライド」について→賃金や物価の変動だけでなく、被保険者数の減少(端的に言えば、少子化)と平均寿命の伸び(端的に言えば、高齢化)という年金財政にとってはマイナス要因となるものを年金額に反映させようとするものです。この手法は調整率(被保険者数の減少率×平均寿命の伸び率によって算出されます)を使用して行われ、ただし、この率による改定は賃金(又は物価)が上昇したときだけに行われます。参考までに、現実に「マクロ経済スライド」が実施された直近の年度は平成27年度です。過去4年度の調整率の推移を見ると、平成27年度▲0.9%(0.991)、平成28年度▲0.7%(0.993)、平成29年度▲0.5%(0.995)、平成30年度▲0.3%(0.997)(参考までに、令和1年度は▲0.2%(0.998))となっています。つまり、賃金(又は物価)が上昇しても、1を下回る率が乗じられることで、受給額がその分だけ減ってしまう仕組みになっているということです。

本題に戻ると、(1)の意味するところは、賃金(又は物価)の上昇が僅かであった年度において、マクロ経済スライドを原則通りに適用してしまうと、当該年度の受給額が前年度に比し減ってしまう場合が考えられます。そのような場合は、先ずは当該年度については受給額は前年度からの据置きとし、その代わり、翌年度以降で賃金(又は物価)の大幅な上昇があった年度において、当該年度の調製できなかった部分を未調整分として、大幅な上昇のあった年度において、さらに調整するということです。

(2) 賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底。

この意味するところは、物価>賃金という場合、つまり現役世代の負担能力が低下しているときは、賃金変動に合わせて改定を行うということです。つまり、物価上昇に見合って賃金の手取額も増えなければ、生活実感としては楽にならないといったことになるのかもしれません。

結論から言うと、(1)(2)いずれも、年金を受給している高齢世代にとっては極めて厳しい措置と言えるかもしれません。少子高齢化のさらなる進展は十分に考えられるところであり、現役世代の将来を考えた場合、彼らへの給付水準を確保することで、彼らに生きる望みみたいなものを享受してもらわなければ、我が日本の先行きは危ういものになってしまうかもしれません。そのために、我々高齢世代も我慢しなければならないってことでしょうか?

※ 年金額の改定ルールの見直し(6_5.pdf へのリンク)

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